使用例

酵母（Candida tropicalis）の電顕写真	ザイモリエイス処理後の 酵母（Candida tropicalis）の電顕写真
CW：細胞壁　　CM：細胞膜　　M：ミトコンドリア　　N：核　　V：液胞 Mb：マイクロボディー(ペルオキシソーム)
ザイモリエイス処理により細胞壁が取り除かれています。

データご提供：
「認定ＮＰＯ法人綜合画像研究支援理事長、日本女子大学 大隅正子名誉教授のご厚意による」

規格と性質

Zymolyase^®はArthrobacter luteusの培養液から調製された酵素で、酵母生細胞の細胞壁に対して強い溶解活性を持っています。本製品に含まれる細胞壁溶解に関わる必須酵素はβ-1,3-glucan laminaripentaohydrolaseで、β-1,3 結合のグルコースポリマーに働き、主生産物としてラミナリペンタオースを生成します。Zymolyase^®は、比活性の異なる2製品を用意しています。

		Zymolyase®-20T	Zymolyase®-100T
形状		凍結乾燥粉末
精製		硫安分画	アフィニティー クロマトグラフィー
活性*1		20,000 units/g	100,000 units/g
共存 酵素*2	β-1,3-glucanase	約1.5×106 units/g	約1.0×107 units/g
	protease	約1.0×104 units/g	約1.7×104 units/g
	mannanase	約1.0×106 units/g	約6.0×104 units/g
	その他	微量のamylase, xylanase, phosphatase	-
至適pH・温度		pH7.5、35℃（酵母細胞壁溶解活性） pH6.5、45℃（酵母グルカン加水分解活性）
力価安定性	2℃	12ヶ月保存で酵母細胞壁溶解活性の低下は認められない
	30℃	3ヶ月保存で約70%の失活が 認められる	3ヶ月保存で約90%の失活が 認められる
酵母（対数増殖期）に対する溶菌スペクトラム（属名）		Ashbya, Candida, Debaryomyces, Eremothecium, Endomyces,Hansenula, Hanseniaspora, Kloekera, Kluyveromyces, Lipomyces, Metschnikowia, Pichia, Pullularia, Torulopsis, Saccharomyces, Saccharomycopsis, Saccharomycodes, Schwanniomyces, etc.
活性化剤		システイン、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなど

*1：下記”ユニット定義”参照
*2：各酵素のユニット定義は文献Kitamura, K., Kaneko, T., Yamamoto, Y., J. Gen. Appl. Microbiol., 18, 57 (1972）を参照ください。なお、各活性はロットによって幅があります。

酵素液：	1ml （Zymolyase®-20T：0.05-0.1mg/ml、 Zymolyase®-100T：0.012-0.024mg/ml）
麦酒酵母懸濁液：	3ml (2mg/ml)
1/15Mりん酸緩衝液：	5ml (pH7.5)
蒸留水：	1ml

*OD₈₀₀が60%減少（2ユニットに相当）した時点で麦酒酵母細胞壁の完全溶解が認められます。
したがって、1ユニットのZymolyase^®は3mg（乾燥重量）の麦酒酵母を完全に分解します。

使用上の注意

Zymolyase^®溶液の無菌化には、ニトロセルロース以外の材質の無菌フィルターをご使用ください。Zymolyase^®-100Tは難溶性のため、懸濁液としてご使用ください。なお、0.05%以上の無菌溶液を必要とする時は、5%グルコースを含む緩衝液（pH7.5）に2%となるように溶解し、不純物を除去後、無菌フィルターを通し、希釈してご使用ください。