製品情報

Evrogen社 細胞内センサー蛍光タンパク質発現ベクター

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Evrogen社の細胞内のカルシウムイオンや過酸化水素の濃度変化を感知する蛍光タンパク質発現ベクターを紹介します。

 

Calcium ion sensor Case12(カルシウムイオンインジケーター)

pCase12-cytoは、カルシウムイオン濃度の変化に応じて蛍光強度が変化する性質を有するCase12タンパク質を発現するベクターです。本製品は、さまざまな生理・病的な条件下で、生細胞におけるカルシウムイオン濃度の変化をモニタリングする際に最適です。

 

 

特長 

 

 

性質
表1:Case12の性質
蛍光色 グリーン
Excitation max 491nm
Emission max 516nm
特異性 カルシウムイオン
Kd for Ca2+ 1μM
pKa 7.2
分子量 46.4 kDa
ポリペプチド鎖長 415 aa
構造 モノマー
凝集性 なし
37℃での成熟 迅速
pCase12-cytoベクターの構造

pCase12v.jpg

 

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図1:Case12のEx/Emデータ

Case12のカルシウムイオン存在、非存在下において標準化したEx/Emデータ(点線:非存在下、実線:1mM Ca2+存在)。Case12は、1mM Ca2+に応答し、蛍光強度が数倍上昇した。 

 

 

データ集 
イオノホアとEGTAを用いたカルシウムイオンに対するCase12の応答 

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図2:HeLa細胞における最大のダイナミックレンジ

Case12ベクターをトランスフェクションしたHeLa細胞は、比較的弱いグリーン色の蛍光を示す(図2B)。20μMのカルシウムイオノホアA23187を添加(培地中のカルシウムイオン濃度:2mM)することにより、蛍光強度が5-6倍程度上昇した(図2AおよびC)。20mM EGTAを添加することで、Ca2+が除去され、蛍光シグナルがベースラインのレベルまで低下した(図2A)。
共焦点実験条件
Leica microscope DM IRE2, confocal TCS-SP2, objective HCX-PL-APO-63x/1.40-0.60/OIL.

 

Case12の蛍光強度とpHの関係

pCase12pH.jpg

図3:カルシウムイオンの存在および非存在下におけるCase12蛍光のpH依存性 

従来のカルシウムセンサーは、低pH側における安定性が問題点とされてきた。汎用的なPericamのpKa(蛍光強度が最大蛍光強度の50%となるpH)は、8.0に達する。一方、Case12のpKaは、7.2(10μMのカルシウムイオン存在下)であり、G-CaMPの値に匹敵する。この比較的高いpH安定性は、Case12がin vivoでの使用においても適した性質を有することを示している。 

 

Case12のカルシウムイオンに対するKd値 

pCase12Kd.jpg

図4:カルシウムイオンタイトレーションカーブ 

Case12のカルシウムイオンに対するKd値は、生理的なカルシウムイオン濃度内の1μMである。 

 

生理的条件下におけるカルシウムイオン濃度のモニタリング 

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図5:生理的条件下におけるカルシウムイオン変化のモニタリング

最終濃度100μMのATPを添加した条件下、Case12を発現する哺乳類細胞は、高ダイナミックレンジで、カルシウムイオンの濃度変化に応答した。この実験により、カルシウムイオン振動に対するCase12の蛍光応答は、迅速かつ可逆的であることが示されている。また、Case12は、生細胞において、nMレンジでカルシウムイオン濃度変化に応答することが証明された。

 

 

文献

1. Souslova et al. BMC Biotechnology, 7, 37 (2007).
2. Nagai et al. Proc Natl Acad Sci USA, 98, 3197-3202 (2001).
3. Nakai et al. Nat Biotechnol, 19, 137-141 (2001). 

 

 

価格表
製品名メーカー製品番号容量オンラインカタログへ
pCase12-cyto FP991 20μg e-Nacalai.jpg

 

 

H2O2 sensor HyPer(過酸化水素インジケーター)

pHyPer-cyto、pHyPer-dMitoは、過酸化水素濃度の変化に応じて蛍光強度が変化する性質を有するHyPerタンパク質を発現するベクターです。本製品は、生細胞における過酸化水素の特異的なモニタリングに最適な蛍光タンパク質発現ベクターです。

 

 

特長 

 

 

性質 
表1:pHyPer製品ラインアップ
製品名メーカー
製品番号
用途
pHyPer-cyto FP941 哺乳類細胞の細胞質内でのHyPerの発現
pHyPer-dMito FP942 哺乳類細胞のミトコンドリアでのHyPerの発現
 
pHyPer-cytoベクターの構造 

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図1:HyPerのEx/Emデータ

Ex(図中、青色)、Em(図中、緑色)

 

 

データ集
Apo2L/TRAILを用いたアポトーシス誘導後の細胞質・ミトコンドリア内の過酸化水素産生の可視化

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図2:Apo2/TRAILによるアポトーシス誘導時の細胞質イメージング

アポトーシス誘導中におけるHeLa細胞の細胞質発現型HyPer(緑色)とTMRM(赤色)の蛍光イメージ

 

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図3:Apo2/TRAILによるアポトーシス誘導時の蛍光強度変化

アポトーシス誘導中におけるHeLa細胞の細胞質発現型HyPer(緑色)とTMRM(赤色)の蛍光強度の変化 

 

pHyPerimg2.jpg

図4:Apo2/TRAILによるアポトーシス誘導時の細胞質およびミトコンドリアのイメージング

アポトーシス誘導中のHeLa細胞の細胞質(A-C)およびミトコンドリア(D-F)のHyPer(緑色)とTMRM(赤色)の蛍光イメージ
(A-C):処理後、(A) : 176min、(B) : 200min、(C) : 240min
(D-F):アポトーシスの間に一時的に脱分極したミトコンドリア内での過酸化水素レベルの上昇

 

pHyPerkeikoukyoudo2.jpg

図5:Hyper(緑色)およびTMRM(赤色)の蛍光強度

ミトコンドリア発現型HyPer(緑色)とTMRM(赤色)を用いたミトコンドリアの過酸化水素レベルと膜電位変化の解析

 

Apo2/TRAILによる誘導(図2-5)

①Apo2L/TRAIL(400ng/ml)でアポトーシス誘導を行うと、HeLa細胞の分解が観察された。処理後、3時間で細胞の形態は、平らな形状から原形質膜ブレブを形成し、円形の形態へと変化した。HyPer-cytoおよびTMRMを用いた結果、細胞質過酸化水素がミトコンドリアの膜電位の消失および細胞の形態変化と応答して、細胞質の過酸化水素が上昇することを確認した(図2、図3、図4A-C)。
②Apo2L/TRAIL処理したHeLa細胞のミトコンドリアにおける過酸化水素レベルの変化を調査するために、ミトコンドリアをターゲットとしたHyPerを使用した。処理後、1-2時間で、一部のミトコンドリアの膜電位が振動し始めた。一部のミトコンドリアは、膜電位の修復に従い一過性の消失を示した。脱分極したミトコンドリアでは過酸化水素レベルの上昇が確認された一方で、ミトコンドリアの膜電位の修復は、過酸化水素レベルの低下へと誘導した(図4D-F、図5)。

 

共焦点実験条件
図2-5:Changes in HyPer fluorescence were followed upon excitation by 4% intensity 488-nm light (emission at 500-520 nm) with simultaneous visualization of TMRM fluorescence upon excitation by 12% intensity 543 nm light (emission at 600-650 nm). Leica confocal system TCS SP2 on inverted microscope Leica DM IRE equipped with HCX PL APO lbd.BL 63x 1.4NA oil objective and 125 mW Ar and 1 mW HeNe lasers was used. Scanning was performed using 400 Hz line frequency, 512x512 format. Time series speed was 1 frame per 2 minutes.

 

Nerve Growth Factor(NGF)を用いた低レベル過酸化水素の検出 

pHyPerNGF.jpg

図6:NGF刺激後の蛍光強度変化

NGF刺激後の細胞質発現型HyPerが過酸化水素応答に対して示す2種類のタイムコース(緑色および赤色)と未処理の細胞(青色)のタイムコース

 

NGFによる誘導(図6)

生理的な刺激により産生される低レベルの過酸化水素を検出するために、細胞質にHyPerを発現するPC-12細胞に対して、NGF処理を施した(同様の実験を4つ展開し、それぞれ22個の細胞について解析)。大半の細胞で、NGF添加後直ぐに過酸化水素レベルが上昇した。添加後、3-7分で最大値に到達し、10-20分で初期レベルへと減少した。また、ある種の細胞は、過酸化水素上昇に関して、Biphasic Kineticsを示した。このような細胞は、微量な初期の一過性の過酸化水素の上昇、引き続いてより高い過酸化水素レベルの上昇が生じ、急速な過酸化水素の上昇が生じた。後にHyPerの蛍光強度は初期レベルに到達した。

 

共焦点実験条件

図6:Changes in HyPer fluorescence were followed upon excitation by 4% intensity 488-nm light (emission at 500-520 nm). Leica confocal system TCS SP2 on inverted microscope Leica DM IRE equipped with HCX PL APO lbd.BL 63x 1.4NA oil objective and 125 mW Ar lasers was used. Scanning was performed using 400 Hz line frequency, 512x512 format. Time series speed was 1 frame per 3 seconds.

 

 

文献

1. Belousov et al. Genetically encoded fluorescent indicator for intracellular hydrogen peroxide. Nat Meth. 3(4), 281-286 (2006).
2. Choi et al. Structural basis of the redox switch in the OxyR transcription factor. Cell, 105, 103-113 (2001).
3. Gorman C. High efficiency gene transfer into mammalian cells. In DNA cloning: A Practical Approach, Vol. II. Ed. D. M. Glover. (IRL Press, Oxford, U.K.), 143-190 (1985).

 

 

価格表
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pHyPer-cyto FP941 20μg e-Nacalai.jpg
pHyPer-dMito FP942 20μg e-Nacalai.jpg

 


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