製品情報

脂肪酸分析用メチルエステル化試薬
脂肪酸メチル化キット

脂肪酸のガスクロマトグラフィー(GC)分析では、ピークのテーリングの防止や脂肪酸の揮発性を高めるためにエステル化の後に分析を行うことが一般的です。しかし、従来のエステル化法では特殊な装置を用いたり、熟練した操作を必要とします。
本法では、簡便で安全な新しい反応系と精製法を組み合わせることによって、誰にでも簡単に脂肪酸のメチルエステル化が可能となりましたので、ご紹介します。
本法で使用するキットは、経済産業省平成16年度地域新生コンソーシアム研究開発事業「ポストゲノム解析を簡便にする生体試料精密分画キットの開発」の成果に基づき製造しています。また、本製品は月桂冠株式会社が公益財団法人 京都高度技術研究所 京都バイオ計測センター 市原先生との共同研究により特許を取得し、ナカライテスク株式会社が許諾を得て製造販売しています。[特許第4942380号]

脂肪酸メチル化キット, グリセリド用の詳細はこちら

特長

 

 

分析対象

 

グリセリドを分析対象とする場合には、室温・短時間で反応できる「脂肪酸メチル化キット(グリセリド用)」をおすすめします。

 

|使用方法|反応機構|使用例|従来法との比較|定量性|試料例|キット内容|価格表|関連製品|

 

使用方法

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  1. 乾燥試料を密閉できる容器に入れます。
  2. メチル化試薬A 0.5 mlを加えます。
  3. メチル化試薬B 0.5 mlを加えます。
  4. 容器を密閉後、37℃で1時間、または室温で1晩放置し、反応させます。
  5. メチル化試薬C 0.5 mlを加えます。
  6. 容器を密閉後、37℃で20分放置し、反応させます。
  7. 抽出試薬 1.0 mlを加えて、ボルテックスミキサーで混合します。
  8. 2層に分離したら、上層を別の容器に移します。
  9. 採取した上層にイオン交換水 1.0 mlを加えて撹拌・洗浄します。
  10. 上層を別の容器に移します。
  11. キャピラリーGCをご使用の場合には、メチル化脂肪酸精製キットを用いて精製(シリカゲルカートリッジを用いた精製法、自然流下)します。
  12. GCで分析します。

 

反応機構

●メチル化試薬Bによる反応

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●メチル化試薬Cによる反応

 hannoukikou-2syusei.jpg

 

使用例

使用例1

【データご提供:月桂冠株式会社 総合研究所】

使用例2

酵母の育種にあたって、酵母細胞内の物質量を正確に測定することが重要となります。
親株と比べ、セルレニン耐性株では、吟醸香のひとつであるカプロン酸が増加していることがわかります。

酵母細胞内の脂肪酸組成

【データーご提供:月桂冠株式会社 総合研究所 】
URL:http://www.gekkeikan.co.jp/RD/research/new005.html

 

使用例3

油脂試料を「脂肪酸メチル化キット」でメチル化後、GC で分析しました。

●バターsiyourei-poteto.jpg

●BSA中の脂肪酸分析siyourei-poteto.jpg

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従来法との比較

酵母細胞試料に対して、「脂肪酸メチル化キット」と従来法とでメチル化を行った結果を比較しました。両者のメチル化率は脂肪酸の鎖長に関わらずほぼ同一となっています。従来法では試料を高温に加熱する必要があるため、多価不飽和脂肪酸やシクロプロパン脂肪酸などの不安定な脂肪酸の分解、低級脂肪酸アルキルエステルの蒸散消失などにより定量性が低下する可能性があります。

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【データご提供:月桂冠株式会社 総合研究所】

定量性

「脂肪酸メチル化キット」を用いて10mg から100mg の酵母乾燥菌体に含まれる総脂肪酸を測定した結果、菌体量と脂肪酸量は比例関係を示し、不純物の多い試料でも正確に脂肪酸の測定ができることがわかりました。

【データご提供:月桂冠株式会社 総合研究所】

試料例

全脂質の脂肪酸組成分析の場合の乾燥試料例

試料例処理等
大腸菌または酵母 容器に大腸菌または酵母の培養液を取り、遠心して得られたペレット約20mgを凍結乾燥させたもの。
大腸菌の場合は1-2時間減圧デシケータで乾燥させても良い。
血液 ヘパリン処理した血液0.04mlを抗酸化剤BHT処理濾紙に着点・吸収させ、30分間減圧デシケータで乾燥、または2時間以上自然乾燥させたもの。メチル化を完全に進行させるには、血液を濾紙全体に薄く塗る必要があります。
[BHT処理濾紙の作成法] (BHT:26-di-t-butyl-p-cresol)0.05%BHTを含むアセトンに濾紙を数分間浸します。別の同組成のアセトンにもう一度浸したのち風乾し、さらに30分以上減圧乾燥または1晩デシケータで乾燥させた後、1.5cm角に切って使用します。濾紙はWhatman® 3MMやADVANTEC社製No.2など。採血用濾紙などの厚手の濾紙はメチル化収率が低下するので使用しないでください。
ラット肝臓 ラット肝臓15mgを凍結乾燥させたもの。減圧デシケータによる乾燥は収率が低下するので使用しないでください。
食用油 4mg以下の食用油
きな粉 20mg以下のきな粉
アジの可食肉質部 約200mgを小試験管に取り、抽出試薬2mlを加えてガラス棒で肉片を押しつぶします。ボルテックスで攪拌後、上澄み液0.5mlをメチル化に使用する容器に取ります。
ロータリーエバポレーター、減圧デシケータ、またはN2ガスを吹き付けて溶媒を蒸発させたものを試料とします。

グリセロ脂質の脂肪酸組成分析の乾燥試料例:上記表大腸菌、食用油、きな粉、魚

 

 

 

キット内容

●脂肪酸メチル化キット(100回用)

 

メチル化試薬A 50 ml 1 本
メチル化試薬B 50 ml 1 本
メチル化試薬C 50 ml 1 本
抽出試薬 250 ml 1 本

 

●メチル化脂肪酸精製キット(50回用)

前洗浄液 200 ml 1 本
洗浄液 200 ml 1 本
溶出液 200 ml 1 本

シリカゲルカートリッジ

カラム

- 50 本

価格表

製品名規格貯法製品番号価格
脂肪酸メチル化キット(100回用) SP 室温 06482-04 e-Nacalai.jpg
メチル化脂肪酸精製キット(50回用) SP 室温 06483-94 e-Nacalai.jpg

関連製品

製品名規格貯法製品番号価格

脂肪酸メチル化キット,

グリセリド用(100回用)

SP 室温 13246-84 e-Nacalai.jpg

 

※掲載の内容は、'15年12月現在の情報に基づいております。