COSMOSIL

COSMOSIL Cholester
新規抗真菌物質 5aTHQs の分析例

データご提供:京都大学大学院薬学研究科 医薬創成情報科学専攻 システムケモセラピー・
制御分子学分野 西村 慎一 助教 / 掛谷 秀昭 教授

汎用されている C18 カラムは、疎水性が類似した化合物に対して分離が困難な場合があります。このような場合、疎水性とは異なる分離特性をもつ、コスモシール Cholester を使用することにより分離が改善する場合があります。 今回、アルキル鎖長が少しずつ異なる新規抗真菌物質の分析データをご提供いただきましたので紹介します。

(1)実験概要

新しい抗生物質を見いだすため、真菌のモデル生物である分裂酵母の生育阻害を指標に、放線菌の培養液から活性成分を探索しました。活性成分として 1,2,3,4-Tetrahydroquinoline の 5 位にアルキル鎖が置換した新しい化合物群(5aTHQ 類)を見いだしました。ところがそれらの化学構造の差はアルキル鎖の長さ・構造のみであり、通常の逆相カラムでの分離・精製は困難でした。コスモシール Cholester を用いると 8 種の化合物を分離・精製することが可能となり、それぞれの構造を決定し、構造活性相関を明らかにすることができました。

(下記画像をクリックすると拡大します) TN-14.png

(2)新規抗真菌物質 5aTHQs の分析例

コスモシール 5C8-MS、コスモシール 5C18-AR-IIでは分離が不十分でした。一方、コスモシール Cholester を用いることで 8 種の化合物を分離することが可能となりました。

(3)考察

生理活性物質の構造や作用を解析するためには、それらを純度高く精製することが不可欠です。しかし一般に、アルキル鎖長などが少しずつ異なる化合物を分離することは容易ではありません。5aTHQ 類は、コスモシール Cholester を用いると、分析条件だけでなく分取条件においても再現良く分離させることができ、それによって初めて、アルキル鎖の構造決定と構造活性相関を明らかにすることができました。

(4)参考文献

Ryosuke Sugiyama, Shinichi Nishimura, Taro Ozaki, Shumpei Asamizu, Hiroyasu Onaka, and Hideaki Kakeya, Org. Lett. , 17 1918 (2015)
※記載の内容は、'15 年 8 月現在の情報に基づいております。
※データをご提供いただきました研究者の皆さまのご所属などの情報は、データご提供時の情報に基づいています。