COSMOSIL Application Note梅肉エキスに含まれるムメフラールの分析
血流改善機能があるとされているムメフラール(MF)は加熱したウメ果肉に含まれる成分で(1)、夾雑物を固相抽出で取り除くことで HPLC-UV による分析が可能です(2)。このたび、文献(2)の方法に基づいて梅肉エキスから MF を抽出し、LC-UV および LC-MS 分析しましたので、紹介します。
(1) Chuda Y. et al. J. Agric. Food Chem. 47(3), 828-831(1999).
(2) 箭田浩士ら 日本食品科学工学会誌 50(4), 188-192(2003).
はじめに
注目成分ムメフラールについて
MF は、5-ヒドロキシメチル-2-フルフラール(HMF)とクエン酸とがエステル結合した化合物で、梅肉エキスに含まれています。梅肉エキスは、青梅の搾り汁をペースト状になるまで加熱濃縮したもので、江戸時代から殺菌・整腸作用をもつ民間薬として使用されています。1 kg の青梅から 20 g 程度しか得ることができないと言われています。
梅肉エキス抽出液と梅干し抽出液の HPLC-UV による比較
分析条件 |
カラム |
COSMOSIL 2.5C18-MS-Ⅱ, 2.0 mmI.D.-50 mm |
検 出 |
UV 280 nm |
移動相 |
A 液; 0.1% -ぎ酸(アセトニトリル / 水 = 2 / 98) B 液; 0.1% -ぎ酸(アセトニトリル 100) B conc. 0% →8%(0分→10 分)、8% →100%(10 分→10.1 分)、100%(10.1 分→13 分)、100% →0%(13 分→13.5 分)、0%(13.5 分→21 分)
|
サンプル |
梅肉エキスおよび梅干し抽出液 1. 5-ヒドロキシメチル-2-フルフラール 2. ムメフラール
|
流 速 |
0.2 mL/min |
温 度 |
40℃ |
注入量 |
2 µL
|
梅肉エキス抽出液では HMF、MF を検出し、両物質が含まれていることが分かりました。一方、梅干し抽出液は HMF、MF ともに検出できませんでした。梅干し抽出液は、ウメ果実を加熱せずに作られているため、HMF および MF は含まれていないと考えられます。
梅肉エキス抽出液の HPLC-MS による成分分析
分析条件 |
カラム |
COSMOSIL 2.5C18-MS-Ⅱ, 2.0 mmI.D.-50 mm |
検 出 |
MS[ESI probe, TIC(+) or (-), MW. 50 ~ 500]、UV 280 nm
|
移動相 |
A 液; 0.1% -ぎ酸(アセトニトリル / 水 = 2 / 98) B 液; 0.1% -ぎ酸(アセトニトリル 100) B conc. 0% →8%(0 分→10 分)、8% →100%(10 分→10.1 分)、100%(10.1 分→13 分)、100% →0%(13 分→13.5分)、0%(13.5 分→21 分)
|
サンプル |
梅肉エキス抽出液 1. 5-ヒドロキシメチル-2-フルフラール 2. ムメフラール
|
流 速 |
0.2 mL/min |
温 度 |
40℃ |
注入量 |
2 µL
|
サンプル調製
(1)梅肉サンプルの調製
-
梅肉エキス
市販梅肉エキスをビンの中でよくかき混ぜたものをサンプルとする。
-
梅干し
梅干し 1 個の果肉をこそげ取り、ミクロスパーテルとピンセットでよくつぶしてかき混ぜ、均一にしたものをサンプルとする。
(2)溶解
- サンプル 150 mg を15 mL-遠心チューブに量り取る。
-
Milli-Q® 水 5 mL を加え、ボルテックスしてサンプルを均一に分散させる。
- 6,000 × g、室温で 10 分遠心する。
(3)固相抽出
- Oasis® HLB Plus Cartridge にアセトニトリル 5 mL を添加してカートリッジを洗浄する。
-
1. にMilli-Q® 水 5 mL を添加してコンディショニングする。
-
2. に(2)3. の上清すべてを添加し、ゆっくりプランジャーを押して吸着させる。
-
3. にMilli-Q® 水 5 mL を流して洗浄し、最後の 1 滴まで出し切る。
-
4. に、アセトニトリル / 水 = 20 / 80 5 mL を添加して溶出させる。
-
回収した溶出液をサンプルとする。
Milli-Q® はMerck KGaA の登録商標です。
Oasis® はウォーターズ テクノロジーズ コーポレーションの登録商標です。
※記載の内容は、'19 年 2 月現在の情報に基づいております。