⑩ カラム内径について(スケールアップ・スケールダウン)
1)カラム内径
はじめに
下表にカラム内径と、標準流速、使用装置、配管内径、用途、4.6 mmI.D.カラムとの面積比、推奨粒子径を、一覧にまとめました。
最も汎用されているカラム内径4.6 mmからスケールアップ、スケールダウンされる場合の、サンプル負荷量、消費溶媒の概算などにご利用いただけます。
内径(mmI.D.) | 1.0 | 2.0 | 3.0 | 4.6 | 10 | 20 | 28 | 50 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
標準流速(mL/min) | 0.05 | 0.2 | 0.4 | 1.0 | 5.0 | 19 | 37 | 70 |
検出器セル・ インジェクター |
セミミクロ用 | 分析用 | 分取用 | |||||
配管内径(mm) | 0.05 | 0.1 | 0.2~0.3 | 1.0 | ||||
用途 | 省溶媒/ LC-MS |
標準装置 で省溶媒 |
標準 | 分取(小) | 分取(中) | 分取(大) | 分取(特大) | |
4.6 mmI.D. との面積比 |
0.05 | 0.19 | 0.43 | 1.00 | 4.73 | 18.90 | 37.05 | 118.15 |
推奨粒子径(µm) | 3 or 5 | 5 | 15以上 |
スケールダウン例(セミミクロ化)
内径4.6 mmカラムから内径の小さなカラムにスケールダウンする場合(カラム長は同じ)、移動相の流速とサンプルの注入量は、カラムの断面積に比例させます。内径3.0 mmカラムは従来の装置を変更することなく高感度、省溶媒を実現します。内径2.0 mm、1.0 mmカラムはHPLC装置の配管、インジェクター、検出器のセルなどをセミミクロ対応にしていただくことにより、さらに高感度となり微量成分の分析が可能となります。
カラムサイズ | 4.6 mmI.D. - 150 mm | 3.0 mmI.D. - 150 mm | 2.0 mmI.D. - 150 mm | 1.0 mmI.D. - 150 mm |
---|---|---|---|---|
クロマトグラム | ![]() |
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標準流速(mL/min) | 1.0 | 0.4 | 0.2 | 0.05 |
分析圧力(MPa) | 3.4 | 3.6 | 3.8 | 3.6 |
サンプル注入量 (µL) |
1.0 | 0.4 | 0.2 | 0.05 |
検出器セル・ インジェクター |
分析用 | セミミクロ用 | ||
検出器感度(AUFS) | 0.08 | 0.04 | ||
配管内径(mm) | 0.25 | 0.10 | 0.05 |
分析条件 | |||
---|---|---|---|
カラム | COSMOSIL 5C18-MS-II | サンプル |
|
移動相 | アセトニトリル:水=70:30 | ||
温度 | 30℃ | ||
検出 | UV254 nm |
スケールアップ例(分取精製へ)
内径4.6 mmカラムから内径の大きなカラムにスケールアップされる場合(カラム長は同じ)、移動相の流速とサンプルの注入量は、カラムの断面積に比例させます。
カラムサイズ | 4.6 mmI.D. - 250 mm | 10 mmI.D. - 250 mm | 20mmI.D. - 250 mm |
---|---|---|---|
クロマトグラム | ![]() |
![]() |
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標準流速(mL/min) | 1.0 | 5.0 | 18.9 |
分析圧力(MPa) | 5.5 | 5.9 | 5.8 |
サンプル注入量(µg) | 125 | 625 | 2,500 |
検出器セル・ インジェクター |
分析用 | 分取用 | |
配管内径(mm) | 0.25 | 1.0 |
分析条件 | |||
---|---|---|---|
カラム | COSMOSIL 5SL-II | 検出 | UV254 nm |
移動相 | 酢酸エチル:エタノール=4:1 | サンプル | Triton X-100 |
温度 | 30℃ |
粒子径の比較
5 µmの粒子を15 µmに変更することにより、理論段数(N)は1/3、圧力は1/9(いずれも理論値)になります。
下の例のようにサンプルを少量注入した場合、5 µmと15 µmでは理論段数に大差がありますが、サンプルを大量に注入した場合にはほとんど差はなくなります。そのため内径28 mm以上のカラムを使用し分取される場合は、圧力の低い15 µmの充填剤を推奨しています。
5C18-AR-II N=23,000 ![]() |
注入量=1 µL | 15C18-AR-II N=5,500 ![]() |
![]() |
![]() |
|
N=2,800![]() |
注入量=100 µL | N=2,200![]() |
N=4.Naphthaleneのピークの理論段数
分析条件 | |||||
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カラムサイズ | 4.6 mmI.D.-250 mm | 分析圧力 | 5C18-AR-II:10.9 MPa 15C18-AR-II:1.8 MPa |
||
移動相 | メタノール:水=70:30 | ||||
流速 | 1.0 mL/min | サンプル |
|
||
温度 | 30℃ | ||||
検出 | UV254 nm |
スケールアップCOSMOCORE 2.6CholesterからCOSMOSIL Cholesterへ
UHPLC条件からHPLC条件へ変更
カラム | COSMOCORE 2.6Cholester | COSMOSIL Cholester |
---|---|---|
シリカゲル | Core-Shell型シリカゲル | 全多孔性シリカゲル |
平均粒子径(µm) | 2.6 | 5 |
平均細孔径(Å) | 90 | 120 |
比表面積(m2/g) | 150 | 300 |
化学結合基 | コレステリル基 | |
カラムサイズ | 2.1 mmI.D-100 mm | 4.6 mmI.D.-250 mm |
装置 | UHPLC | HPLC |
標準流速(mL/min) | 0.4 | 1.0 |
配管内径(mm) | 0.1 | 0.25 |
UHPLCからHPLCへ
UHPLC条件からHPLC条件へ変更することにより、同等程度の分離性能で移行することができます。 コスモコア2.6Cholester( 内径2.1 mm)からコスモシールCholester(内径4.6 mm)に変更する場合、注入量を5倍以上に増やすことにより、適した条件で移行することができます。
分析条件 | |||
---|---|---|---|
カラム | - | 温度 | 40℃ |
移動相 | Methanol | 検出 | UV280 nm |
流速 |
(2.1mmI.D.) 0.4 mL/min (4.6mmI.D.) 1.0 mL/min |
サンプル |
|
最大負荷量の決定
内径の大きなカラムでのスケールアップを行う前に、分析カラムで注入量を徐々に増やし、最も分取効率の高いサンプル負荷量を決定します。

分析条件 | |||
---|---|---|---|
カラム | - | サンプル |
|
移動相 | Methanol | ||
流速 | 1.0 mL/min | ||
温度 | 40℃ | ||
検出 | UV280 nm |
分取カラムへの移行
カラム内径と、標準流速、使用装置、用途、4.6 mmI.D.カラムとの面積比、推奨粒子径
内径(mmI.D.) | 4.6 | 10 | 20 | 28 | 50 |
---|---|---|---|---|---|
標準流速(mL/min) | 1.0 | 5.0 | 19 | 37 | 70 |
検出器セル・インジェクター | 分析用 | 分取用 | |||
配管内径(mm) | 0.2~0.3 | 1.0 | |||
用途 | 分析 | 分取(小) | 分取(中) | 分取(大) | 分取(特大) |
4.6 mmI.D.との面積比 | 1.00 | 4.73 | 18.90 | 37.05 | 118.15 |
分析サイズから分取サイズへの移行
内径4.6 mmカラムから内径10 mmカラムにスケールアップされる場合(カラム長は同じ)、移動相の流速とサンプルの注入量は、約5倍に設定することにより同等のクロマトグラムが得ることができます。

分析条件 | |||
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カラム | - | サンプル |
|
移動相 | Methanol | ||
流速 |
(4.6 mmI.D.)1.0 mL/min (10 mmI.D.)5.0 mL/min |
||
温度 | 40℃ | ||
検出 | UV280 nm |