ナカライテスク株式会社

Sepasol®-RNA I Super G

  • 試料抽出

本製品は、生体サンプルから Total RNA を抽出するための試薬です。液相分離による抽出方法を用いているため、同一サンプルから DNA およびタンパク質も単離することができます。一連の操作で RNA、DNA、タンパク質を単離できるので、貴重なサンプルの分析に有効です。

特長
  • Total RNA 抽出操作が 1 時間で完了
  • 同一サンプルから DNA とタンパク質も同時に抽出可能
  • フェノール相が濃い緑色を呈するため、水相との境界面が識別しやすい
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製品説明

性能評価 1:本製品を用いた RNA 抽出

8 × 106 cells、1 × 106 cells、0.125 × 106 cells の HL-60 細胞から本製品を用いて Total RNA を抽出しました。また、 0.125 × 106 cells の HL-60 細胞においては、アルコール沈殿時に Gene-Packman Coprecipitant(#12680-30)を併用したサンプルも用意しました。抽出した Total RNA を取扱説明書にしたがい DNase 処理後、RT-qPCR を行いました。なお、一連の操作において、各細胞数サンプルは、溶解液量など全て同条件で処理しました。

核酸電気泳動の結果

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サンプル : ① ssRNA Ladder(ニュー・イングランド・バイオラボ #N0362) 
② DNase 処理前 8 × 106 cells
③ DNase 処理前 1 × 106 cells
④ DNase 処理前 0.125 × 106 cells
⑤ DNase 処理前 0.125 × 106 cells(共沈剤あり)
⑥ DNase 処理後 8 × 106 cells
⑦ DNase 処理後 1 × 106 cells
⑧ DNase 処理後 0.125 × 106 cells
⑨ DNase 処理後 0.125 × 106 cells(共沈剤あり)
⑩ DNA サンプル
泳動用緩衝液 : トリス- 酢酸-EDTA 緩衝原液(#35430)を 1 × に調製
泳動 : 50 V 定電圧 50 分
染色 : Dual Green Nucleic Acid Stain(#20599)

8 × 106 cells、1 × 106 cells、0.125 × 106 cells(共沈剤あり)のサンプルにおいて、インタクトな Total RNA を回収できたことが示されました。また、共沈剤を併用していない 0.125 × 106 cells サンプルのバンドは観察されなかったことから、細胞数が少ないサンプルにおける共沈剤併用の有用性を確認することができました。

RT-qPCR の結果

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プライマー : 【Gene target】β-Actin
【Forward primer】5'-AAGAGAGGCATCCTCACCCT-3'
【Reverse primer】5'-TACATGGCTGGGGTGTTGAA-3'
【PCR product】218 bp
PCR 酵素(逆転写酵素) : One Step TB Green® PrimeScript RT-PCR Kit II(Perfect Real Time)(タカラバイオ#RR086A)
PCR 条件 : ①Hold(逆転写) 42℃(5 分) → 95℃(10秒), 1 cycle
②2 Step PCR 95℃(5 秒) → 60℃(30 秒), 40 cycles
③Dissociation 95℃(15 秒) → 60℃(30 秒) → 95℃(15 秒), 1 cycle
リアルタイム PCR 装置 : Thermal Cycler Dice® Real Time System III(タカラバイオ)

Thermal Cycler Dice、TB Green、PrimeScript はタカラバイオ株式会社の登録商標です。

本製品を用いて、細胞数依存的に mRNA を抽出することができました。また、細胞数が少ない場合、RNA 収量が減少し、サンプル間のばらつきも大きいですが、アルコール沈殿時に共沈剤を併用することで、収量を上げ、ばらつきを減らせることが示されました。

性能評価 2:本製品を用いた DNA 抽出

8 × 106 cells、1 × 106 cells、0.125 × 106 cells の HL-60 細胞から Total RNA 抽出後、残りの中間相およびフェノール相から DNA を抽出しました。抽出した DNA を取扱説明書にしたがいフェノール / クロロホルム処理後、qPCR を行いました。なお、一連の操作において、各細胞数サンプルは、溶解液量など全て同条件で処理しました。

qPCR の結果

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プライマー : 【Gene target】β-Actin
【Forward primer】5'-CATGTACGTTGCTATCCAGGC-3'
【Reverse primer】5'-CTCCTTAATGTCACGCACGAT-3'
【PCR product】250 bp
PCR 酵素 : TB Green® Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ#RR820S)
PCR 条件 : ①Hold 95℃(30 秒), 1 cycle
②2 Step PCR 95℃(5 秒) → 64℃(30 秒), 40 cycles
③Dissociation 95℃(15 秒) → 60℃(30 秒) → 95℃(15 秒), 1 cycle
リアルタイム PCR 装置 : Thermal Cycler Dice® Real Time System III(タカラバイオ)

Thermal Cycler Dice、TB Green はタカラバイオ株式会社の登録商標です。

本製品を用いて、細胞数依存的に DNA を抽出することができました。

性能評価 3:本製品を用いたタンパク質抽出

8 × 106 cells、1 × 106 cells、0.125 × 106 cells の HL-60 細胞から Total RNA 抽出後、残りの中間相およびフェノール相からタンパク質を抽出しました。抽出したタンパク質を用いて SDS-PAGE 後、ゲルの半分で CBB 染色、もう半分でウェスタンブロッティングを行いました。なお、一連の操作において、各細胞数サンプルは、溶解液量など全て同条件で処理しました。

サンプル : ① Protein Ladder One Plus, Triple-color for SDS-PAGE(#19593-25) 
② 8 × 106 cells
③ 1 × 106 cells
④ 0.125 × 106 cells
ゲル : Bullet PAGE One 5-15% 17wells(#13080-44)
泳動用緩衝液 : 泳動用緩衝液(10 倍濃縮, SDS-PAGE 用, トリス-グリシン系)(#30329)
泳動 : 400 V 定電圧 12 分
染色 : CBB Stain One Super(Ready To Use)(#11642)
転写 : Bullet Semi-dry Transfer One(#15353-01)
ブロッキング : Bullet Blocking One for Western Blotting(#13779)
抗体希釈液 : Bullet ImmunoReaction Buffer(#18439-85)
一次抗体 : Rabbit Polyclonal GAPDH Antibody(Novus #NB300-322)5,000 倍希釈 室温 30 分
二次抗体 : HRP 標識 Anti Rabbit IgG(自家調製)20,000 倍希釈 室温 30 分
検出 : Chemi-Lumi One Super(#02230) 露光時間 10 分

本製品で抽出したタンパク質を用いて、CBB 染色とウェスタンブロッティングを問題なく行うことができました。

CBB 染色の結果

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ウエスタンブロッティングの結果

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使用方法

本製品を用いて、同一サンプルから RNA、DNA およびタンパク質を同時に抽出するプロトコールを示します。

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製品使用例

実施例 1:BCP を用いた RNA 抽出

本製品にサンプルを溶解後、BCP およびクロロホルムを用いて液相分離し、Total RNA を抽出しました。

回収できる水相量の比較

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クロロホルムの代わりに BCP を用いても、回収できる水相の量はほとんど変わりません。

電気泳動の結果比較

1 × 106 cells の HeLa 細胞を Sepasol®-RNA I Super G で溶解し、クロロホルム(①)と BCP(②)を用いて、Total RNA を抽出しました。

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BCP で Total RNA を抽出した場合、クロロホルムで抽出した場合と同様に、インタクトな Total RNA を回収することができます。

RT-PCR の結果比較

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BCP で抽出した Total RNA は、クロロホルムで抽出した時と同様に RT-PCR に用いることができます。

RNA の収量と純度の比較

Sample type Amont of starting
material
Total RNA(µg) 純度(A260 / A280
クロロホルム BCP クロロホルム BCP
HeLa 細胞 1 × 106 cells 20.6 ± 3.0 19.6 ± 2.9 2.1 2.1
Jurkat 細胞 1 × 106 cells 9.4 ± 1.1 9.8±0.9 2.1 2.1
HL-60 細胞 1 × 106 cells 6.6 ± 0.3 6.4 ± 0.4 2.0 2.1
Mouse Embryo
Fibroblast(MEF)
1 × 106 cells 15.3 ± 0.8 15.7 ± 0.9 2.0 2.1
Yeast 1 × 107 cells 3.3 ± 0.5 3.4 ± 0.6 2.3 2.3

※Sepasol®-RNA I Super G(#09379)で細胞を溶解後、クロロホルムは 200 µL、BCP は 100 µL を加えて転倒混和しました。その後遠心して、水相を 500 µL 回収しました。各抽出物は DNase 処理後に測定しています。Total RNA の回収量は、回収した水相の量や細胞の種類によって変わります。

実施例 2:共沈剤を併用した RNA 抽出

本製品によるTotal RNA の抽出時にグリコーゲン溶液もしくは Gene-Packman Coprecipitant(#12680-30)を添加することで、少ない細胞数からもTotal RNA を回収できることが確認されました。以下にそのプロトコールを紹介します。

共沈剤併用プロトコール

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※共沈剤を使用する際、3 mol/L 酢酸ナトリウムの添加は不要です。

電気泳動の結果比較

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実施例 3:本製品を用いた酵母からの RNA 抽出

酵母は細胞壁が厚いため、本製品を用いた通常法の処理のみでは、高収量の RNA を抽出するのは困難です。そこで、β-1,3 結合のグルコースポリマーに働いて細胞壁を溶解する Zymolyase® で前処理し、高収量の RNA を抽出する方法を紹介します。さらに CTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide) 法を組み合わせることで、ポリサッカライドなどの不純物が除去され、高品質な Total RNA を得ることができる方法を紹介します。

酵母からの RNA 抽出プロトコール

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※Zymolyase® は、Zymolyase®-20T で推奨されている約 2,000U/mL に希釈したものです。細胞株や培養条件などで RNA の収量は変動しますので、濃度の調製が必要です。

抽出方法の違いによるスペクトル比較

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電気泳動の結果

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抽出方法の違いによる RNA の UV 吸収比較(OD600 = 0.840)

※ここでの OD 値は、定常期に入った後、細胞懸濁液を希釈した値です。

  A260  A280 A230 (A260 / A280 (A260 / A230
Zymolyase® 処理のみ 0.760 0.456 0.562 1.666 1.352
Zymolyase® 処理 + CTAB 法 0.570 0.328 0.208 1.738 2.740
CTAB 法のみ 0.338 0.202 0.138 1.673 2.449

Zymolyase は三菱商事ライフサイエンス株式会社の登録商標です。

関連資料

価格表

製品名 毒劇物 規格 貯法 製品番号 容量 オンライン
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Sepasol®-RNA I Super G SP 冷蔵 09379-26 10 mL e-Nacalai.jpg
09379-84 100 mL
09379-97 200 mL
09379-55 500 mL

Sepasol はナカライテスク株式会社の登録商標です。

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