Plant Cell Technology 社 Plant Preservative Mixture(PPM)
Plant Preservative Mixture(PPM)は植物組織培養時における有害な微生物(細菌やカビ)の成長を抑制・防御する研究用試薬です。
- 適量添加で、バクテリアとカビ胞子発芽(内因性コンタミ)を防止
- 熱安定性がよく、培地と同時にオートクレーブが可能
- 処理後は、面倒なすすぎ不要*
- 細菌・カビなどの特定酵素をターゲットとしているので、in vitro での種の発芽、カルスの形成や植物体の再生に影響なし
*外植片、塊茎などでは、事前に殺菌処理(塩素系殺菌剤など)を要する場合があり、水での「すすぎ」が必要となります。
製品説明
有効成分
- 5-Chloro-2-methyl-3(2H)-isothiazolone 0.1350%
- 2-Methyl-3(2H)-isothiazolone 0.0412%
使用方法
培地への推奨添加量(参考値)
培地 1 L のとき、0.05 ~ 0.2%(v/v)(0.5 ~ 2.0 mL PPM/1 L 培地量)
- 軽度なバクテリア、胞子および芽胞などの内因性の汚染や外気由来のコンタミを防止します。
- PPM は、培地のオートクレーブ処理前または後で添加できます。
内因性コンタミの防除に!
①種子
②茎頂、葉、茎などの外植片
③塊茎、球根など
それぞれ使用濃度などが異なりますのでご注意ください。
培養植物がコンタミしてしまった場合に! -Rescue treatment-
流水下で柔らかいブラシで材料を洗った後、50% PPM 溶液で 15 ~ 30 分間攪拌します。ひどくバクテリアなどが混在しているコンタミについては、推奨の pH(2.8 ~ 3.2)にして抑制します(PPM 100%濃度のものを 0.6 g/L くえん酸溶液(滅菌水で希釈)で 1 : 1 に調製したものを使用)。その後すすぎをしないで、0.05 ~ 0.2% PPM を添加した培地に少なくとも 1 ヶ月間置床します。ただし最初の 10 日間は培養物への照射は避けてください。
アグロバクテリウムの除去に!
共存培養の後、濾過機を用いて十分な滅菌水で葉(leaf discs)の表面をすすぎ、2 ~ 5 分間 50 ~ 100% PPM 溶液中に浸します。滅菌ペーパータオルで葉を拭き取り、通常使用している濃度の選択抗生物質と 0.05 ~ 0.1 % PPM を培地に添加するか、もしくは通常の 25 ~ 50% 濃度の抗生物質と 0.05 ~ 0.1% PPM を培地に添加します。
プロトプラストに!
細胞分裂の開始のときに 0.05 ~ 0.1% PPM のみを添加します。もしプロトプラストがコンタミした場合、内因性のコンタミを取り除く方法によって除いたのち、プロトプラストを単離してください。細胞分裂後に 0.05 ~ 0.1% PPM を添加すると、空気由来のコンタミのみを防ぐことになります。
注意事項
取り扱いおよび培養手順上の注意
- PPM を添加した培地は、クリーンベンチの外で分注すると外気にさらされます。コンタミを増やさないため、寒天が固化したのちすぐに組織培養用プレートにフタをしてください。ポンプによる培地の分注の場合は、培地を分注する前と後にホースにオートクレーブした熱水を通すことをお薦めします。
- 種子の表面に高濃度のカビ・バクテリアが見うけられる場合、事前に塩素系殺菌剤で処理を行ってから PPM の使用をお勧めします。この場合は塩素系殺菌剤のすすぎ処理が必要となります。
さらに詳しい情報は、Plant Cell Technology 社の Web site をご参照ください。
顧客使用例
1/2・ムラシゲ&スクーグ(MS)培地無機塩に 2% PPM を添加し 4 日間培養・殺菌処理を行った。シロイヌナズナ種子(カナマイシン耐性遺伝子導入済)をその後、PPM を含まないプレートに播種し、1 週間ほど生育させた形質転換体をカナマイシンで選択。
FAQ(よくあるご質問/トラブルシュート)
- PPM を投与してから、タバコの根が培地に根付いていかないのですが、PPM はタバコの培養に使えないのでしょうか?
- タバコの場合、0.05 ~ 0.1%の濃度でご使用いただきますと、根は培地中に形成されますのでご確認ください。
- PPM を培地に添加すると、pH は変化しますか?
- PPM は酸性溶液(約 pH 3.8)ですので、添加すると培地の pH が若干変化する場合があります。通常、培地の pH を調整後 PPM を添加しますが、pH の変化が細胞の培養に影響を与える場合、PPM 添加後 pH を調整してください。
- 出芽後、植物体にカビが生えた場合、PPM を使用できますか?
- 出芽後もしくは、出芽前の滅菌にご使用いただけます。予備実験として以下の内容で最適濃度の検討をお奨めします。 芽を出芽した小さな外植片を 4% PPM 溶液中に 1 時間、2 時間、4 時間、6 時間、8 時間と時間を変えて攪拌します。その後、すすぎ無しで、0.05 % PPM を添加した培地に置床します。 pH の調整は必要ありません。この予備実験後、高い発芽を示した攪拌濃度を決めていただくことをお奨めします。
※掲載内容は 2024 年 5 月現在の情報に基づいています。
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