PROJECT 02
「なんで?」を大切に。
科学の面白さをYoutubeで伝えたい 

ナカライテスクでは、夏休みの自由研究のテーマになりそうな、ご家庭でも簡単にできる子ども向け実験動画を7つ(スーパーボールやDNA、ビスマス結晶、メタルなスライム、炎色反応(花火)、科学の力でバスボムとロケットに挑戦)公開し、ボトル君(当社非公認SNSキャラクター「定素公(てすく)ボトル君」)が原理や科学のお話を分かりやすく動画内で紹介しております。

教育や子ども向けのコンテンツは視聴者の関心を引くのが難しいと言われておりますが、スーパーボールの動画再生回数はおかげさまで12,000回(2025年12月時点)を超えるほどのアクセスをいただいております。

この動画を企画・作成した社員と、その社員の上司であり、動画出演者でもある「ハシモト」にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。

  • M.S.
    M.S.
    国際部門
    2008年 新卒入社
    薬学研究科 修了
  • ハシモトさん
    ハシモトさん
    取締役 兼 開発生産部本部長
    兼 経営企画室長
    2001年 新卒入社
    薬学研究科 修了

まずは自己紹介を兼ねて、どんな子ども時代を過ごされたのか、そして、当社への入社理由、現在の仕事内容を教えてください。

M.S.M.S.
小さいころから何かを作ることが大好きで、オリジナルのボードゲームを作ったり、カバンを作ったり、段ボールで家を作ったりしておりました。そんな幼少期を過ごしたからなのか、モノを創る仕事に就きたいと考え、メーカー中心に20社程度受けました。ナカライテスクに決めたのは、細分化された仕事ではなく、一貫して仕事ができると思ったからです。

今は国際開発部事業開発課で、海外展開を前提とした開発や海外での販売拡大の施策を担当しています。具体的には海外で製造を推進したり、ワークショップやセミナーを現地で開催し当社の現地顧客へのテクニカルサポートを行っています。年に数度は海外出張をして、現地製造会社や販売店と直接話し、契約書や技術的なサポート、時には価格交渉なども行っています。今後は現地の学会などに立ち、当社製品の技術的なPRに加えて市場開拓も行っていきたいと考えています。

海外展開するにあたり、当社の知名度が低い、納期がかかるなどたくさんのペインポイントが存在します。それらをどのように対処するかを念頭に、今までの経験を活かし、今まで以上の広範囲に渡る業務に携われ、わくわくを感じる毎日です。一方で、英語での情報収集やコミュニケーションにおいて、思うように伝えきれずもどかしさを感じることもあります。また、率直すぎて強い印象を与えてしまったり、逆にやわらかくしすぎて意図が伝わらなかったりと、トーンの調整には今も試行錯誤中です。「製品の良さを知って欲しい」「技術を伝えたい」という気持ちを原動力に、相手に伝わる表現を模索しながら、表現力を磨いています。

企画を思いついた経緯や提案してみようと思ったきっかけについて教えてください。

M.S.M.S.
大学時代、でんじろう先生に憧れていたんです。

私自身、理系を選んだのは理科の資料集の電顕写真を見て感動したことがきっかけです。
「科学の面白さ」を伝え、子どもたちに興味を持ってもらいたいという思いがずっとありましたので、自分もそんなきっかけを提供できれば良いなと漠然と思っていました。

YouTubeなどで動画を公開することが簡単にできるようになり、仕事で実験の方法やTIPSを説明した動画の撮影・編集も担当するようになりました。

そんなある日、「今しかない!」と、夏休みの自由研究のテーマになりそうな題材を選び、ボトル君(当社非公認SNSキャラクター「定素公(てすく)ボトル君」)がお家でできる実験動画を作成する企画書を書いて上司に提出したのですが、トントン拍子で社長プレゼンまで進み、あっという間に撮影が始まりました。

実験動画の企画を最初に聞かれた時の印象を教えてください。

ハシモトさんハシモトさん
YouTubeは今では私にとっても身近な存在ですが、企画立案当時は、存在は知っているものの、自分で積極的に活用しているわけではありませんでした。

そのため、「何か面白いことが起きそうだな」というワクワク感と、「本当に見てもらえるのか? (会社の成長や利益貢献に)役に立つのか?」というモヤモヤした不安が混ざった感覚でした。
ただ、私たちのようなベテランや役職者だけの感性で仕事を進めても、発展性も将来性も限られてしまいます。ですので、ここは若い世代の感覚や発想に乗ってみよう、という前向きな気持ちで企画に賛同しました。

動画を作成・公開するまでの中で苦労したことや大変だったこと、企画して良かった・嬉しかったことなどについて教えてください。

M.S.M.S.
ターゲットは小学生。でも私は大人。だから、小学生は何が面白いのか分からない。
興味を持ってくれる動画にするべく試行錯誤したものを息子や甥っ子に見せて反応をチェックしています。

動画撮影を始めた当時、息子は学校の“お笑い係”を任命されていたので、ネタ帳をこっそり参考にしたり、甥っ子から「音楽はこんなのが流行っているよ」「この部分、なんかたるんでる」と具体的且つ辛口コメントをもらったりするなど、家族総出で協力してくれています。

実験をきっかけに、科学に興味を持ってもらえるような内容を目指しているので、各動画には必ず原理や科学のお話を入れるようにしています。
正解がないからこそ、どこまで手をかけるか、どんな表現にすれば難しい科学原理が伝わるのか工夫を重ねていく。 その一つひとつの判断が視聴回数にもつながるのだと思っています。
また、今まであまりお話したことのない社内の方から、「こんな動画、ナカライテスクもやればよいのにって思ってた!」と、思いがけず多くの社員の方々から温かい言葉をいただきました。甥っ子からも「まあ、おもろいんちゃうか」と(笑)。やってよかったなと思える瞬間です。

実際に動画にも出演いただいておりますが、最初、打診された時の気持ちや、撮影中の裏話、印象に残っているお子さまの反応があれば教えてください。

ハシモトさんハシモトさん
動画をご覧いただくと伝わるかもしれませんが、私は自分に子どもがいないこともあり、正直なところ「お子さんたちとどう接したらいいのか、全く分からない」という状態からのスタートでした。
考えても正解は分からないので、「難しく考えず、自分の素直なリアクションで一緒に楽しもう」と決めて臨みました。

撮影中のお子さんたちの反応は、とても新鮮でした。驚いたり、笑ったり、ちょっと不安そうになったり…こちらが忘れかけていた感覚を思い出させてくれるような瞬間がたくさんありました。
また、M.S.さんの、お子さんへの声かけや場の雰囲気づくりは、さすが親御さんだなと感じる場面が多く、とても勉強になりました。

今後の目標について教えてください。

M.S.M.S.
子ども向け実験動画は、長く続けていきたいです。
この案件は1~2年で結果が出るものではありません。細々とでも長く続けることが重要だと考えています。チャンスがあれば、子ども向けのワークショップなどもやってみたいです(※1)。
いつか動画を見たり、ワークショップに参加してくれた子どもたちが、「科学って面白い!」と思って理系に進んだり、研究者の道に進んだり、さらに当社の採用面接で「小学校の時に子ども向け実験動画を見て科学が好きになりました」という学生さんにお会いできたら最高ですね。

本業では、海外で利益を生むビジネスを構築することが目標です。今はバッターボックスでひたすらバットを振り続けている状態ですが、ヒットを増やせるよう挑戦を続けたいです。

※1 インタビュー実施後の2024・2025年7月下旬、京都市伏見区の京都市青少年科学センター様にご協力いただき「研究者になってみよう」をテーマに、子ども向け実験ワークショップを開催し、M.S.が担当いたしました

仕事をするうえで大切にされていることについて教えてください。

M.S.M.S.
「丁寧に向き合うこと」の大切さを、日々実感しています。
先日、とある海外メーカーの方から、「何か気になることがあったら、どんな些細なことでも言ってほしい」と言われたことがありました。
言葉の壁があると、つい「まぁ、いいか」と妥協しそうになる場面もありますが、その言葉を思い出し、相手の立場に立って考え、しっかり確認するようにしています。

当社の理念にもありますが、丁寧に、誠実に向き合うことで、信頼関係は少しずつ築かれていきます。 そんな積み重ねが、良い仕事につながると信じています。

また、社長や経営層の方々の「ユニーク(おもしろがり)」なところを見習いたいと思っています。というのも、子ども向け実験動画は当初、ボトル君と社員だけで撮影する予定でした。ところが社長に企画書をプレゼンした際に、「動画の視聴回数はどうやって伸ばしますか? 子どもって子どもが好きですよね。子どもに動画に出演してもらってはどうでしょうか」とアドバイスを受け、劇団〇まわり所属と勘違いされる方が続出したぐらい、どうどうたる出演を果たしていただけた子どもさんを二人も見つけてくださいました。
社長のこの一言がなければ、こんなにも動画再生数は伸びなかったと思いますので、どんな仕事においてもユニークの種を探し、ユニークとユニークが掛け合わさってイノベーションが起きるようなことを突き詰めていきたいと考えています。

部下の挑戦を後押しするうえで、意識されていることはありますか?

ハシモトさんハシモトさん
当社のWebサイトをご覧いただくと分かるように、私たちは「ユニーク」であることを大切にしています。そして、そのユニークさの源泉は「人」だと考えています。

社員一人ひとりや、その周りの人たちが、生き生きと個性を発揮し、アイデアを出し、チャレンジできる土壌があってこそ、本当にユニークな会社になれます。その土壌づくりを後押しするのが、私たちのような立場の役割だと思っています。これからも、社員からいろいろなアイデアや挑戦が生まれてくることを期待しています。

後押しといっても、特別なことをしているわけではありません。
自分とは真逆のアプローチであっても頭ごなしに否定しないこと。小さな失敗やつまずきは気にしないこと。やり直せばいいだけですし、同じ失敗を繰り返さないことが大切です。

むしろ、経験値が増えることの方が会社にとっての資産になります。
上司としては、小さなことには目をつぶりつつ、致命傷になるような「大失敗」をしないよう、方向付けや環境づくりで支える。それがベストかなと考えています。

最後に、未来の科学者たちにエールをいただけますでしょうか。

M.S.M.S.
みなさんの創造以上に、世の中にはまだまだ分からないことがたくさんあり、科学はそういう分からないことを調べるためのものであり、解明できていない研究分野はまだまだたくさんあります。ご自身の「なんで?」という疑問を大切に、いろんなことに興味を持っていただき、いろんなことにチャレンジしてほしいと考えています。
子どもたちが興味を持ってもらえるように試行錯誤したり、地道な動画編集作業もありますが、続けることによって次代の科学の担い手や、ナカライテスクのファンを増やすことにつながります。
私と一緒に、子ども向け実験動画を作りませんか?
ハシモトさんハシモトさん
私たちの仕事は、自分たちが直接世の中を変える「主役」になるというよりも、研究者・科学者のみなさんが世界を変えるような大発見をする、そのプロセスを支える仕事で、いわば縁の下の力持ちのような存在です。

わたしたちは決して派手ではありませんが、社会にとっては絶対に欠かすことのできない
役割だと思っています。そうした私たちのスタンスや価値観に共感し、一緒に世界の研究を支えてみたいと思ってくださる方がいれば、ぜひ仲間になっていただきたいです。

未来の科学者のみなさんにお伝えしたいのは、「結果」だけでなく、「なぜ?」「何が?」「どうやって?」と問い続ける気持ちを大事にしてほしいということです。
結論を出したり、データを整理したりすることは、これからますますAIが得意になっていくかもしれません。しかし、「どんな疑問を持つか」「どんな課題を見つけるか」は、人間にしかできない仕事であり、科学者としての第一歩だと考えています。