マイトマイシン C 溶液(1mg/ml)
マイトマイシン C は、細胞内で還元され DNA の核酸塩基分子に結合し、二本鎖 DNA への架橋形成を介して、DNA の開裂を阻止することにより DNA の複製を阻害します。青紫色の抗生物質で、抗腫瘍活性、およびグラム陽性菌・陰性菌に対する強力な抗菌作用、変異誘発作用を有しています。
- 培養細胞にそのまま使用可能! - 無菌調製品
- 冷凍庫から出してすぐ使用可能! - 冷凍庫(-20℃)で固化しない
- 成分の析出なし! - 溶液組成安定性抜群
製品説明
製品内容
マイトマイシン C を 1 mg/mL の濃度に調製した 10v/v% エタノール・90v/v% エチレングリコール溶液
安定性
マイトマイシン C 溶液の安定性
マイトマイシン C は溶解後、不安定であることが知られており、水もしくは PBS に溶解した場合、冷凍保存すると成分が析出してしまいます。また、力価が 90% 以上保持される期間は冷蔵で約 3 日、室温で約 1 日です。しかしながら、本製品の溶液組成における安定性は非常に高く、有効期限は製造後 2 年(冷凍・遮光保存)です。
本製品(#20898-21)、PBS 溶液、水溶液(各 1 mg/mL)を冷凍もしくは冷蔵で保存し、2 カ月後および 10 カ月後に力価を測定し、各溶液における残存力価を比較しました。PBS 溶液および水溶液では力価の低下が確認されましたが、本製品ではほとんど力価は低下していませんでした。本製品は冷凍保存で 2 年安定であることを確認しています。
製品使用例
使用例
マイトマイシン C の細胞増殖停止作用を利用して、次のような用途に使用できます。
- フィーダー細胞の作製 下記使用例で紹介しています。
- 毒性試験などにおける、細胞数測定試薬(MTT など)使用時の細胞数固定
本製品を用いて作製したフィーダー細胞で、ヒト iPS 細胞(201B7 株*)を培養
*Takahashi, K. et al. Cell, 2007 Nov 30;131(5):861-872
<培養条件> フィーダー細胞:SNL76/7 細胞 培地:Primate ES Cell Medium(リプロセル #RCHEMD001) + 5 ng/mL bFGF
フィーダー細胞の作製
- マウス胎児線維芽細胞(STO 細胞など)をコンフルエントになるまで培養します。
- 本製品を最終濃度10 μg/mL となるように添加・混合します。
- (注)本製品を添加する際には、沈みやすいため、均一になるように混合してください。
- CO2 インキュベーター内で 37℃、2 ~ 3 時間インキュベートします。
- 培地を吸引除去し、PBS で 2 回洗浄します。
- トリプシン-EDTA 溶液で細胞を剥離し、回収します。
- 細胞数を計測し、あらかじめゼラチン処理した培養容器に適切な細胞数を播種します。
- CO2 インキュベーター内で培養します。
- 翌日、細胞が生着し、フィーダーとして使用できます。
フィーダー細胞作製時のマイトマイシン C 処理時間の影響
STO 細胞にマイトマイシン C を 10 μg/mL の濃度で作用させ、その作用時間の関係を確認しました。常法に従い 2 時間処理した場合、細胞の増殖が停止し、培養日数の経過とともに少しずつ細胞数が減少していました。また、6 時間処理した場合は細胞の死滅が早い現象が認められました。本製品は PBS 溶液(用時調製)と同等の性能を有していることが認められました。
マイトマイシン C 溶液を最終濃度が 10 μg/mL となるように添加し、1 時間・2 時間・6 時間作用させ、処理後 1 日 ~ 10 日経過した細胞の細胞数を MTT 法により測定しました。
<検討条件>
培地:MEM 培地(アール塩, L-グルタミン, 非必須アミノ酸含有)(液体)(#21443-15)with 10% 牛胎児血清
総液量:0.1 mL/well(96 well plate 使用)
細胞数測定:MTT細胞数測定キット(#23506-80)
マイトマイシン C 溶液の STO 細胞に対する影響
マイトマイシン C を STO 細胞に作用させ、濃度および作用時間と細胞数の関係を確認しました。本製品は PBS 溶液(用時調製)と同等の性能が認められました。
マイトマイシン C 溶液を最終濃度が 0 ~ 100 μg/mL となるように添加し、2 時間・6 時間・24 時間作用させ、5 日培養した後に MTT 法により細胞数を測定しました。
<検討条件>
培地:MEM 培地(アール塩, L-グルタミン, 非必須アミノ酸含有)(液体)(#21443-15)with 10% 牛胎児血清
総液量:0.1mL/well(96 well plate 使用)
細胞数測定:MTT 細胞数測定キット(#23506-80)
マイトマイシン C 溶液の保存期間の影響
製造ロットの異なる 2 種類の製品を用いて、細胞に対する保存期間の影響を確認しました。本試験時において、Lot.①は調製後 17 カ月経過、Lot.②は調製後 4 カ月経過したものです。両者の結果より有効期限内の製品であれば、用時調製品と同等の性能を有していることが認められました。
マイトマイシン C 溶液を 10 μg/mL の濃度で 2 時間作用させ、処理後 2 日・6 日・9 日経過した細胞の細胞数を MTT 法により測定しました。力価は、本試験に使用時の残存力価(%)を示しています。
<検討条件>
培地:MEM 培地(アール塩, L-グルタミン, 非必須アミノ酸含有)(液体)(#21443-15)with 10% 牛胎児血清
総液量:0.1 mL/well(96 well plate 使用)
細胞数測定:MTT 細胞数測定キット(#23506-80)
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。