Extra PAGE One Precast Gel
Extra PAGE One は、一般的な SDS-PAGE 用のプレキャストゲルです。他社製品と同等以上の分離能を示し、ウェスタンブロッティング時の転写効率にも優れています。
- 優れた分離能
- バンドがシャープ
- ウェスタンブロッティングでの高い転写効率
- 従来 SDS-PAGE 法(Laemmli 法)の泳動緩衝液、試料緩衝液を使用可能
- BB9マルチチャンネルピペットの使用が可能(17 ウェルタイプのみ対応)
製品説明
分離能の比較
他社製品と同等以上の分離能を示します。特に 5 ~ 20% のグラジエントゲルや 12.5% の均一ゲルでの比較例では、低分子側の分離能に優れることが示されています。
ゲル | グラジエントゲル | |||
---|---|---|---|---|
製品名 | Extra PAGE One | C 社 | Extra PAGE One | D 社 |
ゲル濃度 | 5 ~ 20% | 4 ~ 20% | 5 ~ 20% | 5 ~ 20% |
製品番号 | 13063-74 | - | 13063-74 | - |
泳動像 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
サンプル | : | タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を 1×に調製し、5 μL 添加 |
染色 | : | CBB Stain One(#04543) |
泳動条件 | : | Extra PAGE One 300 V(定電圧)、約 50 分、C 社、D 社製品は推奨条件に準じています。 |
ゲル | 均一ゲル | |
---|---|---|
製品名 | Extra PAGE One | C 社 |
ゲル濃度 | 12.5% | 12.5% |
製品番号 | 13073-44 | - |
泳動像 | ![]() |
![]() |
サンプル | : | タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を 1×に調製し、5 μL 添加 |
染色 | : | CBB Stain One(#04543) |
泳動条件 | : | Extra PAGE One 300 V(定電圧)、約 50 分、C 社、D 社製品は推奨条件に準じています。 |
転写効率の比較-1
Extra PAGE One は、C 社製品より転写効率が高いことが高分子側および低分子側の矢印のタンパク質で示されました。

サンプル | : | ① Protein Ladder One, Triple-color(#09547-74) ② ~ ④ タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を② 3×、③ 1×、④ 1/3 に調製し、各 2 μL 添加 ⑤ Precision Plus Protein Kaleidoscope(バイオ・ラッド ラボラトリーズ)10 μL 添加 |
転写 | : | セミドライウェスタンブロッティング用転写緩衝液(#30650-31)でゲルとメンブレンを 15 分平衡化後に、10 V(定電圧)で 20 分転写 |
染色 | : | CBB Stain One(#04543)により PVDF メンブレンを染色 |
転写効率の比較-2
Extra PAGE One は、D 社製品では転写効率が低い高分子領域のタンパク質(矢印)も高い転写効率を示しました。

サンプル | : | タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を① 3×、② 1×、③ 1/3 に調製し、各 2 μL 添加 |
転写 | : | セミドライウェスタンブロッティング用転写緩衝液(#30650-31)でゲルとメンブレンを 15 分平衡化後に、10 V(定電圧)で 20 分転写 |
染色 | : | CBB Stain One(#04543)により PVDF メンブレンを染色 |
製品ラインアップ
下記の種類のグラジエントゲルと均一ゲルを用意しています。
ゲル | グラジエントゲル | ||||
---|---|---|---|---|---|
ゲル濃度 | 5 ~ 10% | 5 ~ 15% | 5 ~ 20% | 7.5 ~ 15% | 10 ~ 20% |
製品番号 |
|
|
|
|
|
泳動像 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ゲル | 均一ゲル | |||
---|---|---|---|---|
ゲル濃度 | 7.5% | 10% | 12.5% | 15% |
製品番号 |
13069-14 13070-74 |
13071-64 13072-54 |
13073-44 13074-34 |
13075-24 13076-14 |
泳動像 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
<注意事項> ラピッドステインCBBキット(#30035-14)などの一部の CBB 染色液で、バックグラウンドが薄く残る場合があります。 このような場合は 10%酢酸で、20 分程度洗浄するとバックグラウンドはさらに下がります。 |
製品仕様
プレート | W100 mm × H100 mm × T3.2 mm(ガラス製) |
---|---|
ゲルサイズ | W80 mm × H80 mm × T1.0 mm |
ウェル数(ウェル容量) | 13 ウェル(40 µL)、17 ウェル(28 µL) |
<注意事項>
W100 mm × H100 mm × T3.2 mm のサイズのプレートが使用可能な泳動装置を使用してください。 サンプル添加量は、ウェル容量の半量(13 ウェルは 20 µL、17 ウェルは 14 µL)以下を推奨します。
顧客使用例
MS への適応
Extra PAGE One は、CBB 染色や銀染色などの染色に問題無く使用できるだけで無く、ゲルから切り出したバンドを MS 解析に利用する際にも問題無くご利用いただけます。
10% 均一ゲル

Extra PAGE One 7.5~15%ゲル

ウシ血清アルブミン(#01859)を SDS 化し、10%均一ゲルもしくは Extra PAGE One 7.5~15%ゲルを用いて SDS-PAGE に供した。泳動後のゲルはゲル-ネガティブ染色キット(#16660-41)を用いて染色しバンドを確認した。切り出したタンパク質のバンドを含んだゲルを染色キットに含まれる洗浄バッファーで洗浄した後、ゲル中のタンパク質を還元、アルキル化したのち、30℃にて一晩、トリプシンで消化した。トリプシン消化されたペプチドを C18 Tip により脱塩後、MALDI-MS 解析を行った。その結果、いずれのゲルを用いた場合でも明瞭な BSA 由来のペプチド断片が検出された。
MS/MS への適応
泳動結果 | バンド 2 の MS/MS 解析データ |
---|---|
![]() |
![]() |
データ左:レーン A:Protein Ladder One, Triple-color(#09547-74)、レーン B:BSA を Extra PAGE One 5~20%ゲルを用いて、SDS-PAGE に供した。SDS-PAGE の 2、3、5、6、7、10 のバンドについて MS 解析を行った。以下では、バンド 2、6、10 について取り上げ説明する。
データ右:ここでは、バンド 2 のタンパク質の MS/MS 解析の結果を示しており、Glutamate-ammonia-ligase と同定された。
バンド 6 の MS/MS 解析データ | バンド 10 の MS/MS 解析データ |
---|---|
![]() |
![]() |
同様にバンド 6 および 10 についても MS/MS 解析を行った。得られた推定アミノ酸の配列によりタンパク質を同定した結果、バンド 6 のタンパク質は、3-dehydroquinate synthase、バンド 10 のタンパク質は moaD と同定された。同様に、その他のバンドも MS/MS 解析により同定が可能であった。以上の結果より、Extra PAGE One により分離したタンパク質は、高分子側から低分子側のタンパク質に至るまで、MS/MS 解析に問題無く適応できた。
FAQ(よくあるご質問/トラブルシュート)
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルはどのような製品ですか?
- 本製品は、一般的な SDS-PAGE 用のプレキャストゲルです。 300 V 定電圧で約 40 分で泳動が完了します。他社製品と同等以上の分離能を示し、ウェスタンブロッティング時の転写効率にも優れています。
- 使用方法を教えてください。
- 本製品は、Laemmli 法に従って作製したゲルと同じ方法で使用できます。 また、泳動用緩衝液と試料緩衝液に関しても、Laemmli 法と同じ組成の溶液を使用できます。使用方法の詳細は、取扱説明書をご参照ください。
- ゲル濃度を教えてください。
- 本製品は、均一ゲルとグラジエントゲルの 2 種類ございます。 均一ゲルの濃度は7.5%、10%、12.5%、15%、グラジエントゲルの濃度は 5-10%、5-15%、5-20%、7.5-15%、10-20% がございます。各濃度のゲルにおける泳動像の比較写真を当社 HP および BULLETIN L-134 に掲載しておりますので、ご参照ください。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルを使用可能な電気泳動槽を教えてください。
- 本製品を使用する際の推奨電気泳動槽は、WEP-N もしくは WEP-MN バーティカル高速泳動槽(ジェレックスインターナショナル)です。 上記泳動槽へのゲルのセット方法を解説した動画をよく解る実験プロトコール 電気泳動に掲載しておりますので、ご参照ください。上記以外の泳動槽で使用される場合、本製品のプレートのサイズをご確認の上、予備検討を行っていただく必要があります。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルで電気泳動後、転写を行う場合、使用可能な転写装置を教えてください。
- 本製品を使用する際の推奨転写装置は特に定めておりません。 本製品のゲルサイズは、W80 mm × H80 mm × T1.0 mmですので、このサイズに合う転写装置であれば、使用可能と思われます。また、転写緩衝液は、高速転写が可能な Bullet Sermi-dry Transfer One(#15353)を推奨しております。
- 適切なサンプル添加量を教えてください。
- ウェル容量の半分以下を推奨しています(13 ウェルは 20 μL 以下、17 ウェルは 14 μL 以下)。
- MS への適用は可能ですか?
- 可能です。 本製品の MS への適用データを当社 HP に掲載しておりますので、ご参照ください。
- 核酸電気泳動への適用は可能ですか?
- 本製品は、ゲル自体に SDS を含んでいないため、核酸電気泳動に適用不可な要素はありませんが、当社では実施データを保有しておりません。 そのため、予備検討を行っていただく必要があります。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルで電気泳動を行った際に、スマイリングが起こる場合、改善策はありますか?
- タンパク質電気泳動において、スマイリングが起こる場合、ゲル作製、アプライ、電気泳動といった様々な操作工程中に原因が潜んでいます。 例えば、アプライにおいては、高塩濃度や界面活性剤を多量に含むサンプルをアプライしていることが原因である可能性があります。隣のレーンとの間に塩濃度差があるとスマイリングが起こりやすくなるため、両端のレーンやダミーレーンに試料緩衝液(精製水で 1X にしたもの)を添加することで改善することがあります。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、各操作工程におけるスマイリングが起こる原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルで電気泳動を行った際に、レーンに筋が入る場合、改善策はありますか?
- タンパク質電気泳動において、レーンに筋が入る場合、サンプル調製、ゲル作製、アプライといった様々な操作工程中に原因が潜んでいます。 例えば、サンプル調製においては、サンプルが変性剤などを含み高塩濃度であることや、界面活性剤を多量に含んでいることが原因である可能性があります。PAGE Clean UP Kit(#06441)などを用いてサンプルを精製してください。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、各操作工程におけるレーンに筋が入る原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルで電気泳動を行った際に、バンドがスメアになる場合、改善策はありますか?
- タンパク質電気泳動において、バンドがスメアになる場合、タンパク質の還元が不十分であることやタンパク質量が多いことが原因である可能性があります。 試料緩衝液を新しいものに調製し直すことや、泳動するタンパク質量を減らすことをお試しください。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、バンドがスメアになる原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
- エクストラ PAGE ワンプレキャストゲルで電気泳動を行った際に、バンドの分離が悪い場合、改善策はありますか?
- タンパク質電気泳動において、バンドの分離が悪い場合、ゲル作製、アプライ、電気泳動といった様々な操作工程中に原因が潜んでいます。 例えば、アプライにおいては、還元剤含有サンプルと還元剤不含サンプルを同時に泳動していることが原因である可能性があります。この場合、泳動中に還元剤不含サンプルが還元されてしまう可能性がありますので、必ず数レーン空けてアプライしてください。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、各操作工程におけるバンドの分離が悪い原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
- 泳動後ガラス板からゲルを外す際に、ゲルがガラス板に張り付いて取り外しが難しい場合、改善策はありますか?
- 泳動後の放置時間が長いと、ゲルが乾燥し、ガラス板から外しにくくなる場合がありますので、ご注意ください。 薄いヘラやスパーテル等を少し水で濡らして、ガラス板の間に差し込み、てこの原理により、上のガラス板を持ち上げると、容易に外れます。よく解る実験プロトコール 電気泳動に、ポリアクリルアミドゲル泳動方法の動画を掲載しており、ガラス板からゲルの取り外し方を解説しておりますので、ご参照ください。
- コームを外す際に、ウェルが曲がる場合、改善策はありますか?
- コームを上にしてガラス板を両手で持ち、両手の親指で内側に力を加えながら、コームを上にスライドさせると、スムーズに取り外すことができます。 上記方法でもウェルが曲がってしまった場合、先を削った安全な針等で整えてください。よく解る実験プロトコール 電気泳動に、プレキャストゲルのセット方法の動画を掲載しており、コームの抜き方やウェルの整え方を解説しておりますので、ご参照ください。
価格表
規格 : SP(電気泳動用) 貯法 : 冷蔵
関連製品
電気泳動関連機器
メーカー名 | ジェレックスインターナショナル |
---|---|
製品名 | WEP-MNバーティカル高速泳動槽 |
メーカー製品番号 | WEP-MN |
外寸法 | W143×D84×H140(mm) |
バッファー量 | 550 mL |
オンラインカタログへ | ![]() |
※電気泳動槽には、Extra PAGE One 用のアダプター(100 mm × 100 mm)が付属されています。
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。