ナカライテスク株式会社

簡単! グラジエントゲル様の分離

WIDE RANGE Gel Preparation Buffer(4X) for PAGE

  • 電気泳動

本製品は、アクリルアミド / ビス混合液などに緩衝液として加えるだけで、均一ゲルと同じ作成方法でグラジエントゲルのように分析範囲が広いゲルを作成することができます。泳動用緩衝液や試料緩衝液は従来と同じものが使用できます。また、CBB 染色、銀染色などの染色法においても、通常のゲルと同様に染色できます。

特長
  • 広範囲の分子量レンジで分離可能なゲルが作製可能
  • 従来の均一ゲルと同様の簡単な作製方法
  • 分離 / 濃縮ゲルの調製に緩衝液の使い分け不要
  • ゲルの保存性や強度が向上
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製品説明

本製品の特長について詳細を以下に記載します。

製品の使用法 本製品は 4 倍濃縮の中性緩衝液で、Laemmli 法におけるゲル調製のトリス-塩酸緩衝液の代わりに本製品を用いることで、分離ゲルと濃縮ゲルの調製にご使用いただけます。泳動用緩衝液、試料緩衝液は Laemmli 法の溶液をご使用いただけます。
ゲルの保存性 / 強度 本製品は中性緩衝液のため、ゲルの保存安定性が Laemmli 法組成ゲルより改善しています。またゲル強度が高く、取り扱いが容易です。

性能評価

SDS-PAGE

本製品添加 10% アクリルアミドゲルと Laemmli 法 12% アクリルアミドゲルおよびプレキャストグラジエントゲルとの比較

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サンプル : タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を 1 × になるように調製し使用
染色 : CBB Stain One(#04543)

本製品添加 10% ゲルを使用することで、従来の Laemmli 法組成 12% ゲルでは分離できなかった低分子タンパク質(6.5、14 kDa)を分離することができました。一方で高分子領域におけるバンド(45 ~ 200 kDa)の移動度は大きくなりました。すなわち本製品を使用するだけで、均一ゲルでもタンパク質の分析範囲が広がりプレキャストグラジエントゲルのような分離が可能となります。

ウェスタンブロッティング

β-Actin の検出

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電気泳動 : 本製品添加ゲル(10% ゲル)
Laemmli 法組成ゲル(12% ゲル)
サンプル : ① Chemi-Lumi One Markers Kit(#06456-70)
② HeLa 細胞タンパク質抽出液
転写 : PVDF メンブレン 10 V、30 min
ブロッキング : Blocking One(#03953) 60 min
一次反応 : 抗 β -アクチンモノクローナル抗体(マウス)(200 倍希釈) 60 min
二次反応 : 抗マウス IgG〔H+L〕(ヤギ), HRP 標識(5,000 倍希釈)
+Streptavidin(HRP Conjugate)(10,000 倍希釈) 60 min
検出 : Chemi-Lumi One Super(#02230)

※本製品添加ゲルは従来の Laemmli 法組成ゲルと同条件でウェスタンブロッティングに使用できます。

ゲル調製表

本表は、「40(w/v)%-アクリルアミド / ビス混合液(29:1)(#06119-45)」または「40(w/v)%-アクリルアミド / ビス混合液(37.5:1)(#06121-95)」を用いて SDS-PAGE 用ポリアクリルアミドゲルを作製する場合のものです。

分離ゲルの調製  単位:mL

アクリルアミド濃度
液 名
10 mL
20 mL
30 mL
40 mL
6% 精製水 5.9 11.8 17.7 23.6
40(w/v)% アクリルアミド / ビス混合液 1.5 3.0 4.5 6.0
本製品 2.5 5.0 7.5 10.0
10(w/v)% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 0.1 0.2 0.3 0.4
TEMED 0.008 0.016 0.024 0.032
8% 精製水 5.4 10.8 16.2 21.6
40(w/v)% アクリルアミド / ビス混合液 2.0 4.0 6.0 8.0
本製品 2.5 5.0 7.5 10.0
10(w/v)% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 0.1 0.2 0.3 0.4
TEMED 0.006 0.012 0.018 0.024
10% 精製水 4.9 9.8 14.7 19.6
40(w/v)% アクリルアミド / ビス混合液 2.5 5.0 7.5 10.0
本製品 2.5 5.0 7.5 10.0
10(w/v)% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 0.1 0.2 0.3 0.4
TEMED 0.006 0.012 0.018 0.024
12% 精製水 4.4 8.8 13.2 17.6
40(w/v)% アクリルアミド / ビス混合液 3.0 6.0 9.0 12.0
本製品 2.5 5.0 7.5 10.0
10(w/v)% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 0.1 0.2 0.3 0.4
TEMED 0.006 0.012 0.018 0.024

濃縮ゲルの調製  単位:mL

アクリルアミド濃度
液 名
2 mL
4 mL
6 mL
8 mL
3% 精製水 1.33 2.66 3.99 5.32
40(w/v)% アクリルアミド / ビス混合液 0.15 0.30 0.45 0.60
本製品 0.50 1.00 1.50 2.0
10(w/v)% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 0.02 0.04 0.06 0.08
TEMED 0.002 0.004 0.006 0.008

「30(w/v)%-アクリルアミド / ビス混合液(29:1)(#06141-35)」または「30(w/v)%-アクリルアミド / ビス混合液(37.5:1)(#06144-05)」については、30(w/v)%-アクリルアミド / ビス混合液用ゲル調製表の分離ゲル調製用緩衝液(4倍濃縮)(#30651-05)、濃縮ゲル調製用緩衝液(4倍濃縮)(#09267-44)を本製品に置き代えてご使用ください。

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ゲルサイズ : 8 cm × 10 cm × 1 mm(ミニゲル)
サンプル : タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を 1 × になるように調製し使用
染色 : CBB Stain One(#04543)

ゲル強度

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本製品を添加すると、6% ゲルでも Laemmli 法組成 10% ゲルに近い強度があり、泳動後のゲルの取り扱いが容易になります。

製品使用例

銀染色(二次元電気泳動)

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サンプル : HL-60 細胞由来タンパク質
電気泳動 : 一次元:Immobiline DryStrip pH 4-7(Cytiva)
二次元:本製品添加ゲル(12% ゲル)
染色 : Sil-Best Stain One(#06865-81)

Immobiline は、Cytiva として事業を行う Global Life Sciences Solutions USA LLC およびその関連会社の商標です。

FAQ(よくあるご質問/トラブルシュート)

WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)はどのような製品ですか?
本製品は、SDS-PAGE 用の分離ゲルおよび濃縮ゲルの調製に用いる緩衝液です。 均一ゲルと同じ作製方法で、グラジエントゲルのような幅広いレンジのタンパク質が分離可能なゲルを作製することができます。
使用方法を教えてください。
本製品を従来ご使用の分離ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)および濃縮ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)の代わりに添加して、ゲルの作製を行ってください。 泳動用緩衝液および試料緩衝液には、Laemmli 組成の溶液をご使用ください。使用方法の詳細は、取扱説明書をご参照ください。また、よく解る実験プロトコール 電気泳動には、本製品を用いたゲル作製方法の動画も掲載しておりますので、併せてご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて 5-20% のグラジエントゲルに近い分離を得るためには、どのくらいの濃度のゲルを作製すればよいですか?
5-20% のグラジエントゲルに近い分離を得るためには、本製品を用いて 10% のゲルを作製してください。 BULLETIN L-121 に、本製品を用いて作製したゲルと他社グラジエントゲルの分離の比較、および本製品を用いて作製したゲルにおける濃度の違いによる分離の違いを比較したデータを掲載しておりますので、ご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルの強度は、Laemmli 法組成ゲルよりも強いですか?
本製品を用いて作製したゲルは、Laemmli 法組成ゲルより低いゲル濃度でもゲル強度が高く、泳動ゲルの取り扱いが容易です。 例えば、本製品を用いて作製した 6% ゲルは、 Laemmli 法組成 10% ゲルに近い強度があります。当社 HP に、本製品で作製したゲルの強度を示す写真を掲載しておりますので、ご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルは、どのくらいの期間保存することができますか?
本製品を用いて作製したゲルは、冷蔵かつ密封し乾燥を避けた状態で、約 3 ヶ月の保存が可能です。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで二次元電気泳動を行うことは可能ですか?
可能です。 本製品を用いて作製したゲルで二次元電気泳動を行った例が、当社 HP および BULLETIN L-121 に掲載されておりますので、ご参照ください。また、よく解る実験プロトコール 電気泳動に本製品を用いた二次元電気泳動のプロトコールを掲載しておりますので、併せてご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで Native-PAGE を行うことは可能ですか?
本製品は SDS 不含ですので、Native-PAGE 不可の要素はありませんが、当社ではデータを保有しておりません。 したがって、予備検討を行っていただく必要があります。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで電気泳動を行った後、MS への適用は可能ですか?
可能です。 本製品を用いて作製したゲルで電気泳動後、MS 解析を行った例がよく解る実験プロトコール 電気泳動に掲載されておりますので、ご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで電気泳動を行った後、銀染色を行うことは可能ですか?
可能です。 ただし、銀染色には、シルべストステインワン(#06865)を推奨しております。シルベストステインワン以外の銀染色試薬を使用し、バックグラウンドが上がる場合は、固定を 40 分以上行ってください。本製品を用いて作製したゲルで電気泳動後、銀染色を行った例が当社 HP および BULLETIN L-121 に掲載されておりますので、ご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルは、糖タンパク質に適用可能ですか?
BULLETIN L-121 ではタンパク質マーカー(#29458)をサンプルとした分離例を掲載しておりますが、その中で分子量 45kDa のバンドは糖タンパク質のオボアルブミンです。 当社では、本製品を用いて作製したゲルにおいて、オボアルブミン以外の糖タンパク質に関する知見は保有しておりません。過去の問い合わせでは、本製品で作製したゲルを糖タンパク質検出キット(Pierce™ Glycoprotein Staining Kit, #29562)で検出した際に、バックグラウンドがすべて染色されたという報告があります。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルは、リン酸化タンパク質に適用可能ですか?
本製品は、りん酸化タンパク質の分析を妨害する要素はありませんが、当社では分析データを保有しておりません。 したがって、予備検討を行っていただく必要があります。
濃縮ゲルを作製せず、本製品を用いて作製した分離ゲルのみで泳動を行うことは可能ですか?
濃縮ゲルを作製せず、分離ゲルのみをゲルフレームに流し込み、コームをセットすると、ゲルの上部に気泡が入った状態で固化する傾向があります。 ゲル中の気泡は、泳動後のタンパク質のバンドの形状に影響を与えます。そのため、プロトコール通り、分離ゲルを固化させた後、濃縮ゲルを重層してください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで電気泳動を行った際に、10kDa ~ 40kDa の低分子域の分離が悪い場合、改善策はありますか?
ゲル濃度を高めることやゲルサイズを大きくして泳動距離を伸ばすことにより、低分子域の分離が改善される場合がありますで、お試しください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで電気泳動を行った際に、高分子域の分離が悪い場合、改善策はありますか?
Laemmli 組成ゲルと同じアクリルアミド濃度で本製品を用いてゲルを作製した場合、低分子側での分離は改善しますが、高分子側で分離が改善されないことがあります。 アクリルアミド濃度を 2% 程度下げてご使用ください。取扱説明書に、本製品と Laemmli 組成ゲルのゲル濃度と泳動像を比較したデータを掲載しておりますので、ご参照ください。
バンドがスメアになった場合、改善策はありますか?
タンパク質電気泳動において、バンドがスメアになる場合、タンパク質の還元が不十分であることやタンパク質量が多いことが原因である可能性があります。 試料緩衝液を新しいものに調製し直すことや、泳動するタンパク質量を減らすことをお試しください。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、バンドがスメアになる原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
バンドの形がおかしい場合、改善策はありますか?
タンパク質電気泳動において、バンドの形がおかしい場合、ゲル調製、サンプル調製、アプライ、電気泳動といった様々な操作工程中に原因が潜んでいます。 例えば、サンプル調製においては、サンプル中に高濃度の塩類等、泳動に影響する干渉物質が含まれていることが原因である可能性があります。よく解る実験プロトコール 電気泳動にトラブルシューティングを掲載しており、各操作工程におけるバンドの形がおかしい原因と改善策を記載しておりますので、ご参照ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて分離ゲルを作製した際に、重層液として 1-ブタノールを使用すると、1-ブタノールが白く濁る場合、改善策はありますか?
本製品を用いて分離ゲルを作製する場合、重層液として 1-ブタノール等のアルコールを使用すると、アルコール中に白濁が生じる場合があります。 分離や染色に影響はありませんが、気になるようでしたら、重層液には精製水をご使用ください。
WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)を用いて作製したゲルで、プレステインドマーカーとサンプルを流したところ、マーカーとサンプルのバンドの位置がずれた場合、改善策はありますか?
マーカーとして、色素が結合した製品を用いられていることが原因である可能性があります。 プレステインドマーカーは、使用するゲル濃度や種類(均一ゲルかグラジエントゲルか)によって分子量値が異なることがありますので、SDS-PAGE での分離確認やウェスタンブロッティングでの転写確認の目安としてご使用いただく製品です。分子量の測定には、未着色のタンパク質マーカー(#29458)をご使用ください。
ゲルの調製時に SDS を添加しても問題ありませんか?
当社では、濃縮ゲルに SDS を添加した場合、問題なく電気泳動を行えたことを確認しておりますが、分離ゲルにおいてはデータを保有しておりません。 そのため、予備検討を行っていただく必要があります。本製品は SDS 不含ではありますが、試料緩衝液および泳動用緩衝液に含まれる SDS により、SDS-PAGE の分離が得られます。
これまでトリス緩衝液で作製したゲルを使用していましたが、WIDE RANGE ゲル調製用緩衝液(4 倍濃縮)で作製したゲルを使用した際に、1 本のバンドだったものが 2 本になった場合、原因を教えてください。
トリス緩衝液で作製したゲルと本製品で作製したゲルでは、分離パターンが異なるため、今まで分離していなかったタンパク質が分離された可能性があります。 サンプル中に、分子量の近いタンパク質が複数含まれる場合、上記のような現象が起こりやすくなります。

関連資料

価格表

製品名 規格 貯法 製品番号 容量 オンラインカタログへ
WIDE RANGE Gel Preparation Buffer(4x) for PAGE SP 冷蔵 07831-94 250 mL e-Nacalai.jpg

*本製品には、SDS は含有されていません。

※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。