抗体剝離液
WB Stripping Solution / WB Stripping Solution Strong
本製品はウェスタンブロッティングでの抗原抗体反応を行った後、メンブレン(PVDF 膜もしくはニトロセルロース膜)から抗体を剝がし、その後同じメンブレンで異なる抗体を用いた抗原抗体反応を行う際の抗体剝離液です。化学発光法を用いた検出では 2 ~ 5 回のブロッティング膜の再利用が可能です。
特長
- 室温処理が可能
- 2- メルカプトエタノール不含のため不快臭なし
- 反応時間は 5 ~ 15 分
- Ready to use
製品説明
WB Stripping Solution と WB Stripping Solution Strong の違い
5,000 ng、500 ng、50 ng、5 ng の抗原(c-Myc-GST)を結合した PVDF 膜を HRP 標識抗 GST 抗体で反応させて下記の各溶液を用いて室温で緩やかに振とう(10 分)処理しました。
a. 0.05%(v/v)Tween 20 含有 PBS
b. 2%(w/v)SDS, 100 mM 2-Mercaptoethanol, 62.5 mM Tris-HCl(pH 6.7)
c. WB Stripping Solution
d. WB Stripping Solution Strong
その後、PVDF 膜に残存した HRP 標識抗 GST 抗体を検出するため、0.05%(v/v)Tween 20 含有 PBS で 1 分洗浄後、化学発光検出しました。
e. は、d. に対して HRP 標識抗 c-Myc 抗体を反応させ検出した結果であり、 a. とほぼ同様の結果が得られました。

使用方法
WB Stripping Solution | WB Stripping Solution Strong | |
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使用量 | ブロッティング膜(ミニゲルサイズ)には本製品 20 mL を使用してください。 | |
容器・器具など | トレーやピンセットなどは金属・樹脂製品ともに使用できます。 | トレーやピンセットなどは樹脂製品を使用してください。 |
洗浄 | 化学発光法の検出に使用したブロッティング膜は、0.05%(v/v)Tween 20 含有りん酸生理食塩水(tPBS)または同トリス塩酸生理食塩水(tTBS)により洗浄(5 分程度)してください。 | 化学発光法の検出に使用したブロッティング膜は、イオン交換水により洗浄(1 分程度)してください。 |
処理 | ・室温に戻した本製品はブロッティング膜が浸る程度の液量を容器へ注いでください。 ・ブロッティング膜を浸して室温で緩やかに振とう(5 ~ 15 分)します。 |
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洗浄 | 本製品を廃液した後、0.05%(v/v)Tween 20 含有りん酸生理食塩水(tPBS)または、同トリス塩酸生理食塩水(tTBS)により洗浄(5 分程度)してください。 | |
反応 | 洗浄したブロッティング膜は新たな抗体反応を行うことができます。 | |
残存抗体の確認方法 | 下記のいずれの場合もブロッティング膜に抗体が残存していると、以前の検出像が検出されます。 ①標識抗体の残存は、本製品で処理した後のブロッティング膜をそのまま化学発光法で検出することにより確認することができます。 ②未標識抗体の残存は、本製品で処理した後のブロッティング膜を二次抗体(標識抗体)と反応させた後、化学発光法で検出することにより確認できます。 |
注意事項
WB Stripping Solution | WB Stripping Solution Strong | |
---|---|---|
容器・器具など | 本製品を分注するトレーやピンセットなどは金属・樹脂製品ともに使用できます。 | 本製品を分注するトレーやピンセットなどは樹脂製品を使用してください。金属製品は本製品の性能を劣化させます。 |
処理時間 | 抗原抗体反応の強さにより、室温 5 ~ 15 分の処理条件では ブロッキング膜上に結合した抗体が残存する場合があります。予備検討を行って最適条件を確認することをお薦めします。抗体が残存する場合は処理時間の延長(30 分 ~ 数時間程度)、加温処理(37 ~ 60℃ 程度)も可能です。また、処理後、必要に応じて再度のブロッキング処理を行ってください。 | |
保護 | 使用時は、保護着、保護メガネ、保護手袋などの保護具を着用してご使用ください。身体などに付着した場合は大量の水で洗い流して必要に応じて医師の診察を受けてください。 | |
使用時 | 本製品は室温に戻してからご使用ください。 | 本製品は室温に戻してからご使用ください。本製品は冷蔵保存ですが、保存環境によっては界面活性剤が析出する場合があります。析出物が存在すると組成濃度が変化しますので、析出物を溶解させてから使用してください。 |
適応 | 本製品は、TMB、DAB、4-Chloro-1-naphtol などの発色検出法で染色されたブロッティング膜の再利用には適していません。また、発色検出法の染色像は消えません。 | |
混合使用 | 両製品を混合すると反応して白い沈殿を生じます。両製品を交互に使用される場合は、剝離したブロッティング膜を適当な緩衝液、あるいは精製水で十分に洗浄(3 ~ 5 回程度)して試液を完全に取り除いてから次の製品を使用してください。なお、使用されるトレーなどはそれぞれ別のものを用いてください。 |
顧客使用例
WB Strippng Solution 使用例
1 回目の反応および検出
Paxillin をウェスタンブロッティングにて検出しました。

ブロッキング | : | Blocking One(#03953)30 分 |
洗浄 | : | tTBS |
一次抗体 | : | Anti-Paxillin(mouse IgG) |
二次抗体 | : | Aanti-Mouse IgG-POD |
検出 | : | 化学発光検出キット |
2回目の反応および検出
WB Stripping Solution を用いて室温 15 分処理した後、Vinculin および Actin を検出しました。

ブロッキング | : | Blocking One(#03953)30 分 |
洗浄 | : | tTBS |
一次抗体 | : | Anti-Vinculin(mouse IgG) Anti-Actin(mouse IgG) |
二次抗体 | : | Anti-Mouse IgG-POD |
検出 | : | Chemi-Lumi One |
本データは東京工業大学 生命理工学部 赤池研究室 様よりご提供いただきました。
FAQ(よくあるご質問/トラブルシュート)
- WB 剥離溶液はどのような製品ですか?
- 本製品はウェスタンブロッティングにおいて化学発光法で抗原を検出後、メンブレンから抗体を剝がすための抗体剥離液です。 本製品を使用後、同じメンブレンで異なる抗体を用いた抗原抗体反応を行うことが可能です。
- 使用方法を教えてください。
- 化学発光法で検出後のメンブレンを tTBS または tPBS で洗浄し、本製品に浸して、5 ~ 15 分振とうします。 再度、tTBS または tPBS で洗浄後、新たに抗体反応を行ってください。使用方法の詳細は、取扱説明書をご参照ください。
- WB 剥離溶液(#05364)と WB 剥離溶液ストロング(#05677)の違いを教えてください。
- 抗体を剥離する原理が異なります。 WB 剥離溶液(#05364)は、pH とタンパク質変性剤の作用により抗体を変性させることで剥離させるのに対して、WB 剥離溶液ストロング(#05677)は、還元剤と界面活性剤の作用により抗体を変性させることで剥離させます。抗体との相性によって剥離効果が変わるため、初回ご使用時には、両製品をお試しできる WB 剥離溶液トライアルセット(#05680)にて予備検討することを推奨しております。他にも使用方法の違い等が当社 HP および BULLETIN L-91 に掲載されておりますので、ご参照ください。
- 残存抗体を確認する方法を教えてください。
- 標識抗体をご使用の場合、本製品で処理した後のメンブレンをそのまま化学発光法で検出してご確認ください。 未標識の抗体をご使用の場合、本製品で処理した後のメンブレンを 2 次抗体(標識抗体)と反応させた後、化学発光法で検出してご確認ください。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて、抗体がうまく剥がれない場合、改善策はありますか?
- 抗原抗体反応の強さにより、5 ~ 15 分間の処理条件ではメンブレン上に結合した抗体が残存する場合があります。 30 分 ~ 数時間に処理時間を延長するか、37 ~ 60℃ 程度で加温処理を行ってください。それでも剥離しない場合は、剥離原理の異なるもう一方の WB 剥離溶液をお試しください。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて抗体を剥がした後、2 回目の検出において感度が低下した場合、改善策はありますか?
- 検出感度が下がった原因として、下記が考えられます。 ① タンパク質が変性している。 ② タンパク質がメンブレンから剥がれている。 ① が原因の場合、剥離原理の異なるもう一方の WB 剥離溶液をお試しいただくと、検出感度が改善される可能性があります。一方、② が原因の場合、細孔径の小さいメンブレンに変更いただくことで(現在 0.45 um であれば 0.2 um に変更)改善される可能性があります。
- WB 剥離溶液(#05364)と WB 剥離溶液ストロング(#05677)を交互に使用することは可能ですか?
- 可能です。 ただし、2 つの製品を混合すると、両製品が反応して白い沈殿を生じます。そのため、交互に使用される際は、剥離後のメンブレンを適当な緩衝液または精製水で 3 ~ 5 回程度洗浄して、試薬を完全に取り除いてから次の試薬を後使用ください。なお、トレー等はそれぞれ別のものをご使用ください。
- ペルオキシダーゼ゙染色キットを用いてメンブレンの染色を行った後、WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて、ストリッピング・再染色を行うことは可能ですか?
- ペルオキシダーゼ゙染色キットで染色後、ストリッピング・再染色を行うことはできません。 ペルオキシダーゼ゙染色キットに限らず発色基質を用いた染色方法では、メンブレン上に沈着していた基質の色素を剥がすことはできません。したがって、再染色を行われる場合は、ペルオキシダーゼ検出に発光基質を用いた、ケミルミワンシリーズ(#07880、#02230、#11644)を推奨しております。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて、ビオチン化したタンパク質とアビジン融合プローブとの結合を外すことは可能ですか?
- WB 剥離溶液(#05364)を用いてビオチンとアビジンの結合を解離可能か確認したデータを保有しておりませんが、ビオチンとアビジンの結合は強く、本製品による剥離は困難であると考えられます。 WB 剥離溶液ストロング(#05677)でも剥離した事例はございませんので、予備検討を行っていただく必要があります。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて、蛍光標識抗体を剥離することは可能ですか?
- どちらの製品においても、蛍光標識抗体の剥離が可能か確認しておりません。 したがって、予備検討を行っていただく必要があります。
- 化学発光法で検出後のメンブレンを冷蔵保存しておき、数日後に WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を使用することは可能ですか?
- 可能です。 どちらの製品も、検出直後のメンブレンでなくでも、問題なく抗体を剥がすことができます。ただし、メンブレンが乾燥した状態で本製品を使用することは推奨しておりません。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて、何回メンブレンを再利用することができますか?
- 化学発光法を用いた検出では 2 ~ 5 回のメンブレンの再利用が可能です。 回数に比例して感度は減衰しますので、上記以上の再利用は推奨しておりません。
- WB 剥離溶液(#05364)および WB 剥離溶液ストロング(#05677)を用いて剥がした抗体を、アフィニティー精製することで再利用することは可能ですか?
- 保証外です。 どちらの製品も、検出後に抗体を剥がすことで、同じメンブレンに別の抗体を作用させることを目的としています。
価格表
製品名 | 規格 | 貯法 | 製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
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WB Stripping Solution | SP | 室温 | 05364-55 | 500 mL | ![]() |
WB Stripping Solution Strong | SP | 冷蔵 | 05677-65 | 500 mL | ![]() |
WB Stripping Solution Trial Set | SP | 冷蔵 | 05680-21 | 1 set | ![]() |
Tween はクローダ インターナショナル ピーエルシーの登録商標です。
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。