マイコプラズマの検出・除去・予防

マイコプラズマ汚染の問題点
- 実験データの信頼性を損なう恐れ
- 大切な培養細胞の DNA・RNA・タンパク質合成への影響や染色体の変異を誘発
- 培養液に明確な変化を引き起こさないため、汚染の継続・拡大が進む
このようにマイコプラズマによるコンタミネーションは哺乳類細胞を培養する上で重大な問題となっています。
InvivoGen 社では、マイコプラズマ感染の検出、除去、予防に関連する製品をラインアップしています。
製品説明
製品名をクリックすると、各製品の説明に移動します。
用途 | 製品名 | マイコプラズマ | 細菌 | 酵母 | 真菌 |
---|---|---|---|---|---|
検出 | MycoStrip* | ○ | - | - | - |
除去 | Plasmocin treatment | ○ | - | - | - |
Plasmocure | ○ | - | - | - | |
予防 | Plasmocin prophylactic | ○ | - | - | - |
Normocin | ○ | ○ | ○ | ○ | |
Primocin | ○ | ○ | ○ | ○ |
*MycoStrip マイコプラズマ検出キットのページに移動します。
除去 Plasmocin treatment-マイコプラズマ除去試薬
Plasmocin treatment は、Plasmocin prophylactic(予防試薬)と比べて高い濃度で使用します。これにより 2 週間でマイコプラズマを除去することができます。
特長
- 2 週間でマイコプラズマを除去
- 細胞内在性のマイコプラズマも除去
- 動物細胞には作用せず、細胞毒性なし
- 細胞の代謝への影響は認められない
- 耐性マイコプラズマが出現しにくい
- ES 細胞、ハイブリドーマ、レトロウイルスパッケージング細胞でも処理実績あり
推奨使用濃度
25 µg/mL(本製品 1 mL で 1 L の培地を調製)
※もし 2 週間処理した後でも除去が不十分だった場合は、37.5 µg/mL で引き続き処理してください。
作用ターゲット
- DNA Gyrase
- リボソームの 50S サブユニット
除去 Plasmocure-マイコプラズマ除去試薬
非常に稀なケースですが、Plasmocin に耐性のあるマイコプラズマが報告されています。これらの耐性マイコプラズマを除去するために、InvivoGen 社は Plasmocure を開発しました。本製品は Plasmocin とは異なるメカニズムでマイコプラズマに作用する 2 種類の抗生物質を含有しています。マイコプラズマ除去処理中は、細胞に対して微弱な毒性を示すことが報告されていますが、除去後は細胞の回復が見込まれます。
特長
- Plasmocin に耐性のマイコプラズマを除去可能
推奨使用濃度
50 µg/mL(本製品 1 mL で 2 L の培地が調製)
作用ターゲット
- Isoleusyl Synthetase
- リボソームの 50S サブユニット
予防 Plasmocin prophylactic-マイコプラズマ予防試薬
Plasmocin prophylactic は、マイコプラズマに作用する強力な 2 種類の殺菌成分を含有しており、一方はタンパク質合成に作用し、他方は DNA 複製に作用します。これら 2 つの特異的かつ独立したターゲットは、マイコプラズマや他の多くの細菌にのみ見られるもので、真核細胞には全く存在しません。
特長
- ターゲットが異なる 2 種類の殺菌成分を含む
- 動物細胞には作用せず、細胞毒性なし
- 細胞の代謝への影響は認められない
推奨使用濃度
2.5 ~ 5 μg/mL(本製品 1 mLで 500 mL ~ 1 L の培地を調製)
作用ターゲット
- DNA Gyrase
- リボソームの 50S サブユニット
予防 Normocin-マイコプラズマ、細菌、真菌感染予防試薬
Normocin は、マイコプラズマ、細菌、真菌に対して活性のある 3 種類の抗生物質を配合した革新的な抗菌剤です。
特長
- マイコプラズマ、細菌、真菌に作用
- 使用条件下で培養細胞の代謝への影響なし
- 他の抗菌剤と併用可能
推奨使用濃度
100 μg/mL(本製品 1 mLで 500 mL の培地を調製)
作用ターゲット
- 原核生物 : DNA Gyrase,リボソームの 50S サブユニット
- 真菌 : 細胞膜を介したイオン交換
予防 Primocin-初代培養細胞用のマイコプラズマ、細菌、真菌感染予防試薬
Primocin は培養時のコンタミネーションから初代培養細胞を守るために特別に設計された新しい抗菌剤です。 特に、解剖の際のコンタミネーションや動物内在性のマイコプラズマから守ります。
特長
- マイコプラズマ、細菌、真菌に作用
- 初代培養細胞に毒性なし
- 他の抗菌剤は不要
推奨使用濃度
100 μg/mL(本製品 1 mL で 500 mL の培地を調製)
作用ターゲット
- 原核生物 : DNA Gyrase,リボソームの 30S、50S サブユニット
- 真菌 : エルゴステロール
FAQ(よくあるご質問/トラブルシュート)
- どのような細胞で処理実績がありますか?
-
以下に処理実績のある一部の細胞を掲載します。
- Human Cell Lines : HEK293、HeLa、Colo357、HL60、HSB2、MCF-7、PC3、Hep-G2、MDA-MB231、SW13、SW620、T47D、U-373、U-87
- Rodent Cell Lines : 235-1、NIH3T3、B16、CHO、CT60、PC12、C2C12、C6、ES Cells
- その他 : Hybridomas、Retrovirus Packaging Cell Line、Bi-color damselfish Cell Lines
- 動物細胞に対して毒性はありますか?
- Plasmocin はマイコプラズマと多くの細菌だけをターゲットとして作用します。細胞に高濃度の Plasmocin を作用させている場合、細胞の成長率が減速するかもしれませんが、培養液から Plasmocin を除くと、すぐに正常な成長率に戻ります。
- ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した培養液に Plasmocin、Normocin、Primocin を添加できますか?
- Plasmocin、Normocin はペニシリン/ストレプトマイシン溶液と互換性があります。ペニシリン/ストレプトマイシンと同時に添加することで、抗菌活性スペクトルを広げることができます。初代培養細胞用の Primocin についてはペニシリン/ストレプトマイシンを添加する必要はありません。
- 選択用抗生物質存在下でも使用できますか?
- G418、Zeocin、Hygromycin B、Blasticidin S、Puromycin などの一般的な選択用抗生物質と互換性があり、同時に使用できます。
- 耐性マイコプラズマの出現リスクはありますか?
- 耐性菌の存在を確認するために、繰り返し変異の生じる割合を測定しましたが、培養液中に耐性菌は全く出現しませんでした。従って、本製品に対する耐性マイコプラズマは実質的に出現しないと考えられます。もし Plasmocin 耐性マイコプラズマの出現が懸念される場合は Plasmocure をご使用ください。
- 昆虫細胞でも使用できますか?
- 哺乳動物細胞と同様のプロトコール(推奨濃度 25 µg/mL で 2 週間)でマイコプラズマを除去できます。至適濃度につきましては、50% の範囲で増減(12.5 µg/mL ~ 37.5 µg/mL)させてお試しください。
- ウイルスパッケージング細胞でも使用できますか?
- 同様のプロトコールで使用できます。ウイルス生産前のパッケージング細胞からのマイコプラズマ除去であれば除去用の Plasmocin treatment、ウイルス生産の間であれば Plasmocin prophylactic または Normocin をご使用ください。
- tet 調節発現系細胞でも使用できますか?
- Plasmocin はテトラサイクリン・ファミリーに属しませんので、問題なく使用できます。
価格表
除去
製品名 | 製品濃度 | メーカー製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
---|---|---|---|---|
Plasmocin treatment | 25 mg/mL | ant-mpt-1 | 25 mg(1 X 1 mL) | ![]() |
ant-mpt | 50 mg(2 X 1 mL) | ![]() |
||
Plasmocure | 100 mg/mL | ant-pc | 100 mg(1 mL) | ![]() |
予防
※掲載内容は 2021 年 4 月現在の情報に基づいています。