クロマトグラフィー

COSMOSIL Application Note

野菜に含まれるフラボノイド配糖体の分析

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野菜に含まれるフラボノイドを抽出し、C₁₈ カラムで UV 検出器および MS 検出器を用いて分析しましたので紹介します。

はじめに

● 注目成分フラボノイドについて

フラボノイドはポリフェノールの一種で、フラボノイド分子に含まれるフェノール性 OH 基による抗酸化作用があり、生活習慣病が防げるなどと言われています^1）。茶カテキン、タマネギのケルセチン^2）や大豆イソフラボン、柑橘類のヘスペリジン^3）が有名ですが、ソバに含まれるルチン、そのほかマメ科植物、ホウレンソウ⁴^、^5）、パセリ^6）などセリ科の野菜、またアブラナ科の野菜にも含まれています。茶カテキンなどの一部を除き、野菜フラボノイドはほとんど配糖体として存在しているといわれています。

野菜フラボノイドの HPLC-UV 分析

● タマネギ　鱗茎

サンプル	:	タマネギ鱗茎抽出液
ピーク	:	ケルセチン3,4'- ジグルコシドケルセチン4'- グルコシド（スピラエオシド）

● ホウレンソウ　葉

サンプル	:	ホウレンソウ葉抽出液
ピーク	:	スピナトシド-4'- グルクロニド 5,3',4'- トリヒドロキシ-3- メトキシ-6:7- メチレン - ジオキシフラボン-4'- グルクロニド

● パセリ　葉

サンプル	:	パセリ葉抽出液
ピーク	:	イソロイホリン（アピゲニン7- ルチノシド）

Conditions
Column	COSMOSIL 2.5C₁₈-MS-Ⅱ　2.0 mm I.D. × 150 mm	Flow rate	0.2 mL/min
Mobile phase	A : 0.1%- ぎ酸（メタノール / 水 = 10 / 90） B : 0.1%- ぎ酸（メタノール / 水 = 90 / 10） B conc. 30% → 60%（0 分 → 25 分）、60%（25 分 → 30 分）、60% → 30%（30 分 → 30.1 分）、30%（30.1 分 → 35 分）	Temperature	40℃
		Detection	UV 350 nm
		Inj. vol.	5 μL

LC-MS 分析と文献値²^、⁴^、⁵^、^6）より、各ピークの成分を推定しました。

抽出方法

（1）野菜サンプルの細切

タマネギ　鱗茎
タマネギの茶色い皮をむき、白い可食部（鱗茎）を包丁で細かく刻む。
ホウレンソウ　葉
ホウレンソウの葉を包丁で細かく刻む。
パセリ　葉
パセリの葉を茎からちぎり、包丁で細かく刻む。

（2）フラボノイドの抽出

細切サンプルをよく混合し、10 g を量り取る。
抽出溶媒（メタノール / 水 = 80 / 20）80 mL を加えて振り混ぜる。
ときどき振り混ぜたりガラス棒で突き混ぜたりしながら、密栓して室温で一晩放置する。
Whatman グレード 2 ろ紙でろ過し、ろ液を取り分ける。
ろ過残渣に抽出溶媒を加え、洗浄する。
Whatman グレード 2 ろ紙でろ過し、ろ液を 4 のろ液と混合する。
6 の液に抽出溶媒を加えて全量を 100 mL にする。
一部をコスモナイスフィルター（W）でろ過し、ろ液を HPLC サンプルとする。

Whatman は、Whatman International Ltd. の登録商標です。

標準品の HPLC-MS 分析

Conditions
Column	COSMOSIL 2.5C₁₈-MS-Ⅱ　2.0 mm I.D. × 150 mm	Sample	ルチン（1 mg/mL）（MW. 610.5, m/z 609）ケルセチン（1 mg/mL）（MW. 302.2, m/z 415^＊, 301）ルテオリン（1 mg/mL）（MW. 286.2, m/z 399^＊, 285）ケンフェロール（1 mg/mL）（MW. 286.2, m/z 399^＊, 285）アピゲニン（1 mg/mL）（MW. 270.2, m/z 269,383^＊）＊トリフルオロ酢酸の付加体を検出しました。
Mobile phase	A : 0.1%- ぎ酸（メタノール / 水 = 10 / 90） B : 0.1%- ぎ酸（メタノール / 水 = 90 / 10） B conc. 30% → 60%（0 分 → 25 分）、60%（25 分→ 30 分）、60% → 30%（30 分 → 30.1 分）、30%（30.1 分 → 35 分）
Flow rate	0.2 mL/min
Temperature	40℃
Detection	MS（ESI probe、MIC(-)、各分子量）	Inj. vol.	0.25 μL each

参考文献

1）井上順, 佐藤隆一郎. 化学と生物. 2016, 54(6), 416-420.
2）岡本大作ほか. 園芸学会雑誌. 2006, 75(1), 100-108.
3）野方洋一. 近中四農研報. 2005, 5, 19-84.
4）Watanabe M, Ayugase J. J Sci Food Agr. 2015;95(10):2095-2104.
5）渡辺満, 鮎瀬淳. 日本食品化学工学会誌. 2015, 62(10), 501-507.
6）Plazonic A, et al. Molecules. 2009;14(7):2466-2490.

価格表

分析に用いた製品

分類	用途	製品名	毒劇物	メーカー / 規格	製品番号	容量 / サイズ内径 × 長さ（mm）	オンラインカタログへ
カラム	分析	コスモシール 2.5C₁₈-MS-Ⅱ パックドカラム	－	SP （高速液体クロマトグラフ用）	XXXXX-XX	2.0 mm I.D. × 150 mm	ご照会
試薬	移動相	メタノール	劇		21929-81	1 L
		蒸留水	－		14029-91	1 L
		ぎ酸	劇		08965-82	25 mL
前処理	サンプルろ過	Whatman定性ろ紙（グレード2 90 mm）	－	Cytiva	1002-090	100 枚
前処理	サンプルろ過	コスモナイスフィルター (水系) (0.45 μm, 4 mm)	－	ナカライテスク	06543-04	100 pkg

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