アポトーシス検出キット(Annexin V-FITC / Annexin V-633)
本製品は蛍光標識したアネキシン V と PI を利用し、初期のアポトーシスと後期のアポトーシスが検出可能なキットです。FITC または赤色蛍光色素を標識したアネキシン V から構成される、2 種類の検出キットをラインアップしています。
特長
- 簡便にアポトーシス初期、アポトーシス後期の観察が可能
- 細胞の固定は不要
- フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡で検出可能
ラインアップ
製品名 | Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit | Annexin V-633 Apoptosis Detection Kit |
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励起 / 蛍光 | アネキシン V-FITC(494 nm / 518 nm) PI(535 nm / 617 nm) |
アネキシン V-633(650 nm / 666 nm) PI(535 nm / 617 nm) |
キット構成 | アネキシン V-FITC 溶液 PI 溶液 アネキシン V 結合溶液(10x) |
アネキシン V-633 溶液 PI 溶液 アネキシン V 結合溶液(10x) |
原理
Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit の例
正常細胞 | アポトーシス初期 | アポトーシス後期 |
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正常な細胞では、膜りん脂質であるホスファチジルセリン(PS)が細胞膜の内側に存在するため、アネキシン V に認識されません。アポトーシス初期の細胞では、細胞膜構造は維持したまま PS が細胞表面に露出してくるため、アネキシン V-FITC に認識されて細胞表面だけが緑(FITC)に染色されます。アポトーシス後期の細胞では、細胞内に PI が取り込まれるようになり、細胞内が赤(PI)に染色されます。
Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit
実施例 1
アポトーシス誘導細胞の蛍光画像
明視野観察 | 蛍光観察 |
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Jurkat 細胞に 1 µg/mL のスタウロスポリンを 37 ℃で 3.5 時間作用させてアポトーシスを誘導し、蛍光顕微鏡で観察した。
アネキシン V-FITC(緑)
PI(赤)
実施例 2
アポトーシス誘導細胞のフローサイトメトリー解析
コントロール(未処理) | アポトーシス誘導細胞 |
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Jurkat 細胞に 1 µg/mL のスタウロスポリンを 37 ℃で 3.5 時間作用させてアポトーシスを誘導し、フローサイトメーターで解析した。
性能比較
アポトーシス検出キット性能比較
コントロール(未処理) | シクロヘキシミド処理 | UV 処理 | |
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A 社製品 | |||
本製品 |
細胞種 :マウス B16 メラノーマ細胞
細胞数 :10,000 個
検出装置:Gallios(Beckman Coulter, Inc.)
シクロヘキシミドおよび UV 照射(1 µg/mL)によりアポトーシスを誘導し(37 ℃、3.5 時間)、フローサイトメーターで解析したところ、本キットは A 社製品と同等の性能を有していることを示した。
未処理においては、アポトーシスは認められなかった。シクロヘキシミドでアポトーシスを誘導すると、アポトーシス初期の細胞が多数確認できた。また UV 処理した細胞でもアポトーシスが確認できた。
-- | :アネキシン V-FITC および PI の双方共に蛍光値が低い。生細胞領域。 |
+- | :アネキシン V-FITC の蛍光値は高く、PI は低い。アポトーシス初期。 |
++ | :アネキシン V-FITC および PI の双方共に蛍光値が高い。アポトーシス後期。 |
データご提供:京都大学大学院 薬学研究科 病態情報薬学 高橋 有己 助教
性能評価
アポトーシス検出キット性能評価
コントロール(未処理) | 飢餓状態(48 時間) |
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細胞種 :U-87 MG 細胞
検出装置:Tali® イメージサイトメーター(Thermo Fisher Scientific Inc.)
グルコースを除き飢餓状態(48 時間)によりアポトーシスを誘導し、イメージングサイトメーターで解析したところ、アポトーシス初期の細胞が確認できた。
データご提供: | 京都府立医科大学大学院 医学研究科 生体情報・機能形態学分野神経発生生物学(生物学教室) 後藤 仁志 講師 |
<商標について>
・Tali® は Thermo Fisher Scientific Inc. の登録商標です。
Annexin V-633 Apoptosis Detection Kit
実施例
アポトーシス誘導細胞の蛍光画像
ピューロマイシン処理 | アクチノマイシン処理 |
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細胞種 :10T1/2 細胞 線維芽細胞
検出装置:共焦点レーザ走査型顕微鏡 FLUOVIEW FV1000(オリンパス株式会社)
データ左) | ピューロマイシンを 2.5 μg/mL の濃度で 6 時間処理した後、20 倍の対物レンズを用いて観察した。右の細胞がアポトーシスの初期で、アネキシン V-633 のみにより染色されている(白く光っている部分)。左側の細胞はアポトーシスの後期で PI により核も染色されている(赤色の部分)。 |
データ右) | アクチノマイシンを 30 ng/mL の濃度で 20 時間処理した後、20 倍の対物レンズを用いて観察した。本条件下ではアポトーシスが進んでおり、アネキシン V-633、PI の双方で染色された。 |
データご提供:京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻 食品分子機能学分野 後藤 剛 准教授
価格表
※記載の内容は、'18年11月現在の情報に基づいております。