エタノール沈殿を促進 Gene-Packman Coprecipitant
ジーンパックマン共沈剤は、DNA や RNA などの核酸をエタノール沈殿 / イソプロパノール沈殿させる際に使用するアクリルアミド系共沈剤です。希薄な核酸溶液に本製品を添加することで、冷却不要で直ちに遠心操作を行えるだけでなく、微量な核酸サンプルの回収率を上げることができます。
特長
- 微量核酸の回収率が上昇
- 沈殿が容易に目視可能で実験操作が安心
- 冷却不要で迅速なエタノール沈殿が可能
- エンドトキシン、DNase、RNase 試験済み
性能評価 1:本製品を用いた微量核酸の回収
λ/HindⅢ(10 ng/500 μL)を 0.1 mol/L 酢酸ナトリウム存在下にて 1 mL のエタノールを加え、各条件で沈殿させた DNA のアガロース電気泳動を行った。
①1kbp DNA Ladder One(#08232)
②λ/HindⅢ(Control)
③λ/HindⅢ + 本製品 3 μL(直ちに遠心)
④λ/HindⅢ -20℃、60 分
⑤λ/HindⅢ -80℃、60 分
⑥λ/HindⅢ + A 社製品 3 μL(直ちに遠心)
⑦λ/HindⅢ + B 社製品 5 μL(直ちに遠心)*
⑧λ/HindⅢ + Glycogen Soln. (#17110) 3 μL(直ちに遠心)
*B 社製品は、添付文書に従って 0.3 mol/L 酢酸ナトリウム存在下でエタノール沈殿を実施した。
以上の結果より、他社製品と同様に低温保存をしなくても微量 DNA が十分に回収できることが示されました。
性能評価 2:本製品が PCR に及ぼす影響
本製品が PCR へ与える影響を調べるために、あえて PCR 反応液へ加え、1,000 bp の DNA 領域を各社ポリメラーゼにより増幅した。反応は 25 μL(15 ng Template DNA、0.2 μM each Primer、0.2 mM dNTPs、ポリメラーゼおよび緩衝液は各添付文書に従った)で 94℃-0.5 分、55℃-0.5 分、72℃-1 分を 25 サイクル行った。
本製品 ①0 μL ②0.2 μL ③0.5 μL ④1 μL ⑤3 μL ⑥5 μL
以上の結果より、本製品は、PCR に影響を及ぼさないことが示されました。
Blend Taq®、KOD Dash®、KOD FX® は東洋紡株式会社、TaKaRa Ex Taq® は宝ホールディングス株式会社の登録商標です。
性能評価 3:260 nm および 280 nm における吸光度
本製品および A 社製品について各原液、50 倍希釈溶液、100 倍希釈溶液の吸光度を測定しました。実験には 0.2 mL の原液または希釈液を供し、石英製ミクロセル(光路長 10 mm、光路幅 1 mm)を用いて 25℃ における吸光度を測定しました。またサンプルの希釈には超純水を採用しました。
原液 | 50 倍希釈 | 100 倍希釈 | |
---|---|---|---|
本製品 | 0.342 | 0.012 | 0.007 |
A 社製品 | 0.674 | 0.015 | 0.007 |
原液 | 50 倍希釈 | 100 倍希釈 | |
---|---|---|---|
本製品 | 0.283 | 0.010 | 0.005 |
A 社製品 | 0.568 | 0.011 | 0.005 |
実施例:本製品を併用して抽出した RNA の RT-qPCR への適用
細胞数の異なる HL-60 細胞から Sepasol®-RNA I Super G を用いて Total RNA を抽出しました。0.125 × 106 cells の HL-60 細胞においては、本製品を併用したサンプルも用意しました。抽出した Total RNA は DNase 処理後、RT-qPCR を行いました。なお、一連の操作において、各細胞数サンプルは、溶解液量などすべて同条件で処理しました。
Sepasol® はナカライテスク株式会社の登録商標です。
RT-qPCR の結果
<実験条件>
プライマー |
【Gene target】β-Actin 【Forward primer】5'-AAGAGAGGCATCCTCACCCT-3' 【Reverse primer】5'-TACATGGCTGGGGTGTTGAA-3' 【PCR product】218 bp |
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PCR 酵素(逆転写酵素) | One Step TB Green® PrimeScript RT-PCR Kit II(Perfect Real Time)(タカラバイオ#RR086A) | ||
PCR 条件 |
①Hold(逆転写) 42℃(5分) → 95℃(10秒), 1 cycle ②2 Step PCR 95℃(5秒) → 60℃(30秒), 40 cycles ③Dissociation 95℃(15秒) → 60℃(30秒) → 95℃(15秒), 1 cycle |
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リアルタイム PCR 装置 | Thermal Cycler Dice® Real Time System III(タカラバイオ) |
RNA を抽出する際、細胞数が少ないと、RNA 収量が減少し、サンプル間のばらつきも大きいですが、アルコール沈殿時に共沈剤を併用することで、収量を上げ、ばらつきを減らせることが示されました。
Thermal Cycler Dice®、TB Green®、PrimeScript はタカラバイオ株式会社の登録商標です。
外部評価
大腸菌からプラスミド DNA を抽出し、その抽出したプラスミド DNA に対して、本製品または A 社製品を用いたエタノール沈殿を行った。また、共沈剤を用いない一般的なエタノール沈殿を行い、これらの精製プラスミド DNA をアガロースゲル電気泳動によって比較した。
分析手順
試薬・キット
- 本製品
- A 社製品
- エタノール(#14713)
- NucleoSpin® Plamid QuickPure(MACHEREY-NAGEL #740615.250)
結果(アガロース電気泳動)
①1kbp DNA Ladder One(#08232)
②A 社製品
③本製品
④エタノール沈殿(共沈剤なし)
⑤粗精製プラスミド DNA
上図より、本製品または A 社製品を用いることで、従来のエタノール沈殿に比べ高純度、高収率でプラスミド DNA を精製することができた。また、本製品による精製 DNA と A 社製品による精製 DNA で、アガロース電気泳動の結果に差は見られなかった。
データご提供:
(公財)京都高度技術研究所(ASTEM) 産学連携事業部連携支援グループ(京都バイオ計測センター) 奥村 健太 様
(地独)京都市産業技術研究所 バイオ系チーム 泊 直宏 研究員
価格表
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