抗体溶出用バッファーArg-Antibody Elution Buffer(pH 4.0)
本製品は、抗体をプロテインAクロマトグラフィーにより高収率、高品質に回収するための溶出緩衝液です。通常、プロテインAからの抗体の溶出には酸性pH条件が必要ですが、多くの場合に会合体の生成が認められます。本製品は、溶出緩衝液にL-アルギニンを添加することで、より緩和なpH条件にて効率的に高品質な抗体回収を実現します。
※本製品は味の素株式会社の特許の使用許諾を得て製造しています。(特許第4826995号)
特長
- 微酸性条件で抗体溶出が可能で、会合体形成や酸変性のリスクが低下
- プロテインA結合緩衝液など、他の緩衝液組成に制約なし
- アルギニン含有の溶出緩衝液として特注組成にも対応可能
L-アルギニンによるプロテインAからの溶出イメージ
実施例
グリシン緩衝液との溶出比較
- COSMOGEL® Ig-Accept Protein AをD-PBSにて平衡化
- コントロールヒト血清をProtein Aカラムに負荷
- カラム容量の10倍量のD-PBSにてProtein Aカラムを洗浄
- カラム容量の5倍量の0.1 mol/L-グリシン緩衝液(pH 2.8~4.0)、もしくはArg-Antibody Elution Buffer(pH 4.0)にて溶出し、抗体画分を回収
- SDS-PAGEにて各溶出緩衝液の回収量を確認
pH 4.0の微酸性条件において、0.1 mol/L-グリシン緩衝液では抗体はほとんど溶出しないが(レーン⑤)、アルギニン含有の本製品を用いることで効率的に抗体が回収されている(レーン⑥)。
サンプル
① Protein Ladder One(#09547-74)
② コントロールヒト血清
③ 0.1 mol/L-グリシン緩衝液(pH 2.8)溶出画分
④ 0.1 mol/L-グリシン緩衝液(pH 3.4)溶出画分
⑤ 0.1 mol/L-グリシン緩衝液(pH 4.0)溶出画分
⑥ Arg-Antibody Elution Buffer(pH 4.0)溶出画分
使用方法
1. Protein Aカラムによる抗体の精製
1) ご使用中の中性pH緩衝液にてProtein Aカラムを平衡化します。2) 抗体含有サンプルをProtein Aカラムに負荷します。
3) ご使用中の中性pH緩衝液にてProtein Aカラムを洗浄します。
4) カラム容量の5~10倍量のArg-Antibody Elution Buffer(pH 4.0)にて抗体を溶出します。
*溶出した抗体をそのままお使いの際には、必要に応じてゲルろ過、透析などで脱塩を行ってください。
2. 溶出した抗体を陽イオン交換カラムにてさらに精製する場合
1) 陽イオン交換カラムを酢酸緩衝液にて平衡化します。(酢酸緩衝液のpHは抗体のpI値で決めてください。)
2) 1.にて溶出した抗体を2~3倍量の20 mmol/L-酢酸緩衝液 pH 4.0~5.0などで希釈します。
3) 希釈した抗体を平衡化済みの陽イオン交換カラムに負荷します。
4) 負荷後、ご使用中の低イオン強度の緩衝液にて陽イオン交換カラムを洗浄します。(本工程で、本製品の組成物は抗体とほぼ分離されます。)
5) ご使用中の高イオン強度の緩衝液にて抗体を溶出します。
参考文献
- Elution of antibodies from Protein-A column by aqueous arginine solutions. Protein Expression and Purification 36(2), 244-248 (2004).
- Effective elution of antibodies by arginine and arginine derivatives in affinity column chromatography. Analytical Biochemistry 345(2), 250-257 (2005).
- Role of arginine in protein refolding, solubilization, and purification. Biotechnology Progress 20(5), 1301-1308 (2004).
- Screening of effective column rinse solvent for Protein-A chromatography. Protein Expression and Purification 70(2), 218-223 (2010).
価格表
※掲載の内容は、'17年12月現在の情報に基づいております。