翻訳効率を高める新たなキャッピング技術TriLink BioTechnologies 社 CleanCap® Technology
mRNA を用いた医薬品開発の研究が活発になってきており、新型コロナウイルスワクチンをはじめ、がん免疫治療、ゲノム編集、再生医療などへの応用も期待されています。効果的な mRNA を合成するうえで重要なのが 5' 末端側に付加するキャップです。TriLink BioTechnologies 社(以下 TriLink 社)が開発した独自のキャッピング試薬 CleanCap® は、ワンポットで Cap 1 構造を付加することができ、さらにキャッピング効率が高いため、従来と比べて翻訳効率の高い mRNA を合成することが可能です。
また、CleanCap® M6 は、mRNA の 1 塩基目部分にあたるアデノシン 6 位の窒素原子をメチル化することで、デキャッピングを防ぎ、CleanCap® シリーズの中で最高の翻訳効率となっています。
特長
- 高い翻訳効率
- 高いキャッピング効率(95 ~ 99%)
性能評価
高い翻訳効率(ARCA と CleanCap® の比較)
LNP に封入した FLuc mRNA をマウステイルの静脈に注入し、24 時間後の FLuc の発現量を確認しました。CleanCap® でキャッピングした mRNAは、ARCA(Anti-Reverse Cap Analog)と比べて自然免疫応答が低減されているため、FLuc の発現量が多くなっています。また、CleanCap® M6 はデキャッピング耐性があるため、CleanCap® AG や AG(3’OMe)と比べてさらに発現量が多いことがわかります。
高いキャッピング効率(95 ~ 99%)
キャッピング効率を比較した結果、CleanCap® は ARCA と比べてキャッピング効率が高いことが示されています。
ARCA | CleanCap® | |
---|---|---|
キャッピング効率 | 60 ~ 80% | 95 ~ 99% |
キャップ構造 | Cap 0 | Cap 1 |
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翻訳効率の高い mRNA の合成が可能
CleanCap® 試薬
TriLink 社では Cap 1 構造を mRNA に付加できる CleanCap® 試薬を販売しています。ARCA と同じ手法でキャッピングすることが可能で、さらにキャッピング効率も ARCA と比べて優れています。
特長
- Cap 1 構造を有しているため、自然免疫応答が低減
ラインアップ
CleanCap® M6
Cap 1 構造に加え、アデノシン 6 位の窒素部分をメチル化することで、デキャッピングを防ぎ、翻訳効率を高めることができます。
T7 プロモーター配列直後の転写開始配列が AGG である必要があります。
CleanCap® AG
真核生物で見られる、一般的なキャップ構造(Cap 1)を有しています。
T7 プロモーター配列直後の転写開始配列が AGG である必要があります。
CleanCap® AG(3'OMe)
Cap の糖部分をメチル化することで、翻訳効率を高められる場合があります。
T7 プロモーター配列直後の転写開始配列が AGG である必要があります。
CleanCap® AU
自己増幅 mRNA(self-amplifying RNA)の合成を検討しているお客さまにお薦めです。アルファウイルス発現ベクターに由来する自己増幅 RNA は、AU 配列で転写が開始することが知られており、この AU 配列は複製において重要とされています*。
T7 プロモーター配列直後の転写開始配列が AU である必要があります。
アルファウイルスの転写開始部分
* Reference:
Kulasegaran-Shylini, R. et al.
Structural and Functional Elements of the Promoter Encoded by the 5' Untranslated Region of the Venezuelan Equine Encephalitis Virus Genome.
J. Virol. 2009, 83(17), p. 8327–8339.
価格表
キャッピングや修飾塩基への置換が可能
mRNA 合成受託サービス
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CleanCap® と改変技術の併用で免疫応答低減
修飾・改変 mRNA
合成 mRNA を自然免疫応答から回避するために、キャップ構造を付加する以外に、RNA の構成成分の一つであるウリジンの含有量を最小限に減らすこと、除去できないウリジンを修飾ウリジンに置換することが効果的であると報告されています。 TriLink 社では、CleanCap® によるキャッピングに加え、ウリジンの含有量を削減し、かつ修飾ウリジンで置換を施した免疫応答誘導性の低い mRNA を販売しています。
特長
- 修飾・改変による免疫応答低減
性能評価
ウリジン含有量削減と修飾ウリジンの併用効果
FLuc をコードする mRNA を THP-1 細胞に導入し発現させた結果、ウリジン含有量を削減し(U depleted FLuc)、かつ 5-メトキシウリジン(5moU)で置換した mRNA が最も自然免疫応答を回避していることが示されています。
価格表
製品名に「M6」が入っていないものは、キャッピングとして CleanCap® AG を使用しています。
CleanCap® は TriLink BioTechnologies, LLC の登録商標です。
※掲載内容は 2024 年 5 月現在の情報に基づいています。