タンパク質電気泳動時のサンプルの濃縮・夾雑物の除去にPAGE Clean Up Kit
二次元電気泳動や SDS-PAGE のサンプル調製に最適な製品を紹介します。
本製品はアセトン、トリクロロ酢酸、共沈剤をタンパク質の沈殿に最適化した製品です。本製品により沈殿させたタンパク質を使用目的に応じたサンプル溶解液に再懸濁することで、サンプルタンパク質の濃縮やバッファー中の分析妨害物質の除去ができます。
特長
- タンパク質サンプルの濃縮や分析妨害物質の除去に最適
- 高濃度の尿素・グアニジン・SDS 存在下でも沈殿可能
- 透析より簡単で μL レベルの小容量処理も可能
使用例
二次元電気泳動用サンプル調製
CBB 染色結果 | サンプル: HL-60 細胞由来タンパク質 RIPA バッファー(#08714-04)抽出 電気泳動: (一次元): Immobiline DryStrip pH 4-7(Cytiva) (二次元): SDS-PAGE(12% ゲル) 染色: (CBB 染色)CBB Stain One(#04543) (銀染色)Sil-Best Stain One(#06865-81) |
|
PAGE Clean Up Kit | A 社製品 | |
銀染色結果 | ||
PAGE Clean Up Kit | A 社製品 | |
A 社製品で沈殿処理したサンプル、PAGE Clean Up Kit で沈殿処理したサンプルについて、それぞれ二次元電気泳動を実施した結果、同等の泳動像が得られました。 |
Immobiline は、Cytiva として事業を行う Global Life Sciences Solutions USA LLC およびその関連会社の商標です。
タンパク質の濃縮 1
サンプル: BSA(100 ng) 100 μL 沈殿処理: ①本製品使用 ②TCA 沈殿法を使用 ③10 倍量アセトン沈殿法を使用 電気泳動: SDS-PAGE(12% ゲル) 染色: (銀染色)Sil-Best Stain One(#06865-81) |
||
タンパク質抽出に汎用される高濃度の尿素、グアニジン塩酸塩、SDS は、従来の TCA 法やアセトン法の回収率を下げる要因でしたが、本製品沈殿法への影響は低く、高い収率で BSA を回収できました。 |
タンパク質の濃縮 2
サンプル: タンパク質マーカー(10 倍濃縮)(#29458-24)の 10 倍希釈(標準濃度) 電気泳動: SDS-PAGE(12% ゲル) 染色: CBB Stain One(#04543) |
|||||||||||||||||
表 1:上図 標準濃度からの希釈倍率(①⑩は標準濃度)
|
|||||||||||||||||
レーン①のタンパク質マーカーを表 1 の希釈倍率のとおり希釈しました。希釈した各サンプルを本製品により沈殿後、液量を減らして高濃度のサンプルを調製しました。沈殿前後のサンプルを電気泳動後、CBB 染色した結果、濃縮前では検出が困難な濃度の薄い各サンプルをタンパク質のロス無く濃縮でき、①と同等のバンドが確認できました。 |
電気泳動妨害物質の除去
サンプル: A)タンパク質マーカー(10 倍濃縮)(#29458-24) B)BSA(100 ng:非還元) 沈殿処理: ①本製品未使用 ②本製品使用 電気泳動: SDS-PAGE(12% ゲル) 染色: A)(CBB 染色)CBB Stain One(#04543) B)(銀染色)Sil-Best Stain One(#06865-81) |
||
泳動像に影響を与える成分を含むサンプルを本製品で処理したところ、泳動像が改善されました。 (注)収率はサンプル溶解液の組成やタンパク質濃度などにより異なる場合があります。予備検討の上、ご使用ください。 |
製品構成
試薬 | 主な成分 | 容量 |
---|---|---|
Solution A | トリクロロ酢酸 | 10 mL |
Solution B | 共沈剤 | 5 mL |
Solution C | アセトン | 100 mL |
使用方法
- 100 μL のサンプルに Solution A を100 μL 添加、混合後、さらに Solution B を 30 μL 添加し混合します。
- 4℃で 12,000 × g、5 分、遠心分離した後、上層の液を捨てます。十分に液を除去するために、さらに 4℃で 12,000 × g、10 秒、遠心分離し、上層の液を捨てます。
- Solution B を20 μL 添加し、沈殿物を十分にボルテックスします
(この時沈殿物は完全に溶解しません)。 - 4℃で 12,000 × g、5分、遠心分離した後、上層の液を捨てます。
- 冷凍庫であらかじめ冷やしておいた Solution C を 1 mL 入れ、沈殿物を十分にボルテックスします。
- 冷凍庫で 30 分、静置してください。
- 4℃で 12,000 × g、5 分、遠心分離した後、上層の液を捨てます。十分に液を除去するために、さらに 4℃で12,000 × g、10 秒、遠心分離し、上層の液を捨てます。
- 室温で 5 分程度、風乾します。
- 電気泳動の試料緩衝液など、使用目的に応じたサンプル溶解液を添加し、十分に溶解してください。
価格表
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。