細胞溶解液RIPA Buffer
RIPA Buffer は界面活性剤を含んだタンパク質抽出用の緩衝液で、タンパク質の可溶化・抽出に使用されます。抽出されたタンパク質は、ウェスタンブロッティングや免疫沈降などのアプリケーションに使用できます。
ラインアップ
弊社では、RIPA の基本組成で構成される 1 × 調製済み(ready to use タイプ)の製品と、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有し、免疫沈降時に悪影響を与える可能性のある SDS を別添付した 10 倍濃縮タイプの 2 製品を販売しています。
製品名 | RIPA Buffer | RIPA Buffer(10x) |
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製品番号 | 16488-34 | 08714-04 |
濃縮 | 1 ×(ready to use) | 10 × |
プロテアーゼ 阻害剤カクテル | 不含 | 含有 |
SDS | 含有 | 不含(1% SDS 溶液を添付) |
保存 | 冷蔵 | 冷凍 |
組成 |
| 【1 × 溶液調製後(SDS 添加)】
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製品外観 | ||
容量 / セット内容 | 100 mL |
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Nonidet はシェル ブランズ インターナショナル アクチェンゲゼルシャフトの登録商標です。
RIPA Buffer(#16488-34)
RIPA Buffer(#16488-34)は調製済みの溶液で、開封後そのまま使用できます。研究目的によっては、プロテアーゼ阻害剤やホスファターゼ阻害剤を添加して使用することも可能です。
使用例
RIPA Buffer 抽出タンパク質の電気泳動
RIPA Buffer(#16488-34)に次の阻害剤を 1% または 2% の濃度で添加、HL-60 細胞からタンパク質を抽出し、SDS-PAGE を行いました。
- プロテアーゼ阻害剤カクテル(一般用)(#04080)
- プロテアーゼ阻害剤カクテル(動物細胞抽出物用)(#25955)
- ホスファターゼ阻害剤カクテル(#07574-61)
サンプル:
① タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)を 1 × に調製
② ~ ⑬ HL-60 細胞から抽出したタンパク質
*#04080 と#25955 の双方が混合されているわけではありません。
泳動ゲル:
Extra PAGE One Precast Gel, 5-20%, 13wells(#13063-74)
染色:
CBB Stain One(#04543)
RIPA Buffer 抽出タンパク質のウェスタンブロッティング
Lane ④ と ⑫ について、リン酸化タンパク質の検出を行いました。
サンプル:
④ ホスファターゼ阻害剤(#07574-61)を 1% で添加した場合
⑫ ホスファターゼ阻害剤無添加の場合
電気泳動:
Bullet PAGE One Precast Gel, 5-15%, 17wells(#13080-44) 400 V 10 分
転写:
Bullet Semi-dry Transfer One(#15353-01) 25 V 10 分
ブロッキング:
Blocking One-P(#05999-84) 20 分
抗体:
p-Tyr 抗体 (PY20) HRP(Santa Cruz #sc-508 HRP) 2,000 倍希釈 60 分
検出:
Chemi-Lumi One Super(#02230)
RIPA Buffer(#16488-34)にホスファターゼ阻害剤カクテル(#07574-61)を添加することにより、HL-60 細胞由来のリン酸化タンパク質は、ホスファターゼによる影響を回避することができました。
価格表
RIPA Buffer(10x)(#08714-04)
使用例 1
SDS 添加による抽出時の効果と免疫沈降時の影響
抽出
抽出条件:
冷 PBS で洗浄した組織切片 100 mg に対して、RIPA Buffer 300 µL を氷上で 30 分処理
染色:
CBB Stain One(#04543)
左図:
マウスの胃から各 RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液
① SDS(-)RIPA
② SDS(+)RIPA
③ A 社 RIPA(SDS 入り)
右図:
① Pre-stained Protein Markers(Broad Range)(#02525-35)
② タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)
各組織から SDS(+)RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液
③ Mouse Liver
④ Mouse Kidney
⑤ Mouse Stomach
⑥ Mouse Brain
⑦ Mouse Heart
免疫沈降
抽出条件:
Jurkat Cell 1.0 × 107 個に対して、RIPA Buffer 1 mL を氷上で 15 分処理
① SDS(-)RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液
② SDS(+)RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液
③ タンパク質マーカー(10倍濃縮)(#29458-24)
④ SDS(-)RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液から免疫沈降した溶液
⑤ SDS(+)RIPA を用いてタンパク質抽出した溶液から免疫沈降した溶液
⑥ アガロースコントロール
一次抗体:
β-Actin 抗体(C4)(Santa Cruz #sc-47778)
二次抗体:
goat anti-mouse IgG-HRP(Santa Cruz #sc-2005)
左図染色:
Sil-Best Stain One(#06865-81)
右図検出:Chemi-Lumi One L(#07880)
抽出時の組織溶解性は、SDS(+)の方が高い結果が得られました。一方、免疫沈降においては、SDS(-)の方が多くの β-Actin を検出しました。
使用例 2
転写因子(SREBP-1、ChREBP)のウェスタンブロッティングによる検出
データご提供:近畿大学農学部 応用生命化学科 応用細胞生物学研究室 森山 達哉 准教授
CBB 染色
① SDS(+)
② SDS(-)
③ B 社(SDS 入り)
染色:
CBB Stain One(#04543)
ウェスタンブロッティング
① SDS(+)
② SDS(-)
③ B 社(SDS入り)
ブロッキング:
Blocking One(#03953)
検出:
Chemi-Lumi One L(#07880)
細胞質や核などに存在している抽出しにくいタンパク質が、効率よく抽出できました。
価格表
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。