製品情報

TUBE (Tandem Ubiquitin Binding Entity)

TUBE はポリユビキチンと高い親和性で結合する人工タンパク質で、培養細胞や生体組織のユビキチン化タンパク質を精製、または検出するのに最適です。本製品はスペインの研究機関 CIC bioGUNE で開発され*1、LifeSensors 社がライセンスを受けて生産しています。細胞 / 組織化学染色におけるユビキチン化タンパク質の検出にお薦めです。

*1 Hjerpe, R. et al. Efficient protection and isolation of ubiquitylated proteins using tandem ubiquitin-binding entities. EMBO Rep. 2009, 10(11), p. 1250-1258.

特長

  • ユビキチンに対する特異性と親和性が抗体よりも高い
  • 困難だった内在性の微量なポリユビキチン化タンパク質のプルダウンが可能
  • 細胞溶解時のプロテアソームや脱ユビキチン化酵素による消化を防止

原理図

d013014_genri.png

TUBE(四つ連なった黒い欠円)はユビキチン(U)へ結合して、脱ユビキチン化酵素(DUB)による脱ユビキチン化やプロテアソームによる分解を防ぎます。
TUBE に Tag / Conjugate(GST、His6、Biotin、Agarose、Fluorophore)が融合 / 連結しており、例えば上図のように GST が融合している GST-TUBE であればグルタチオン-レジンを使用して GST プルダウンをすることができます。

ラインアップ

d013014_lineup.png

*2 使用方法を限定するものではありません
UBA:Ubiquitin Binding Associated domain

プロトコール

GST-TUBE または His6-TUBE を用いた精製

  1. 細胞溶解液(例えば RIPA バッファー)を 4℃ に冷やす
  2. 500 µL の細胞溶解液へ TUBE を終濃度 100 ~ 200 µg/mL(1.8 ~ 3 µM)になるように加える
  3. 洗浄した細胞(1.5 × 106 cell)へ 500 µL の細胞溶解液を加える
  4. 細胞と細胞溶解液を 1.5 mL チューブへ回収する
  5. 氷上で 15 分インキュベーション
  6. 4℃、10 分、~ 14,000 g で遠心分離
  7. 上清を回収する
  8. グルタチオンレジンまたは金属イオンアフィニティークロマトグラフィー担体を用いて精製する

Agarose-TUBE を用いた精製

  1. 細胞溶解液(例えば RIPA バッファー)を 4℃ に冷やす
  2. 洗浄した細胞(1.5 × 106 cell)へ 500 µL の細胞溶解液を加える
  3. 細胞と細胞溶解液を 1.5 mL チューブへ回収する
  4. 4℃、10 分、~ 14,000 g で遠心分離
  5. Agarose-TUBE を細胞溶解液へ加える
  6. 4℃、4 時間インキュベーション
  7. 4℃、5 分、~ 1,000 g で遠心分離
  8. 上清を除き、Agarose-TUBE を t-TBS で洗浄する
  9. 0.2 M グリシン-塩酸バッファー, pH 2.5 で 4℃、1 時間以上インキュベーション
  10. 5 分、13,000 g で遠心分離
  11. 上清を回収する

Biotin-TUBE を用いた Far-ウェスタンブロッティング

  1. 目的タンパク質を転写した PVDF 膜を 3% BSA(fraction-V)含有 t-PBS で室温にて 1 時間ブロッキング
  2. Biotin-TUBE(0.2 ~ 1.0 µg/mL)を加え室温にて 1 時間インキュベーション
  3. t-PBS で 10 分洗浄 × 3
  4. ストレプトアビジン-HRP(濃度は使用する製品に従ってください)を加え室温にて 1 時間インキュベーション
  5. t-PBS で 10 分洗浄 × 4 以上
  6. 化学発光試薬により検出

FLR- / TMR-TUBE2 を用いた細胞 / 組織化学染色

  1. 細胞 / 組織を 2% ホルムアルデヒドで 5 分固定
  2. 0.5% Triton X-100 で 10 分膜透過処理
  3. FLR- / TMR-TUBE2 を 1:500 ~ 1:1,000 の 倍率で 2% BSA / t-PBS に希釈
  4. 希釈した FLR- / TMR-TUBE2 をサンプルへ 1 時間室温で作用させる
  5. t-PBS で 3 回洗浄
  6. 蛍光顕微鏡により観察

Triton はユニオン・カーバイド・コーポレーションの登録商標です。

性能評価

Biotin-TUBE1 を用いた Far-ウェスタンブロッティング

seinouhyouka_2.jpg

Neuro2A 細胞由来のタンパク質約 40 µg を用いてウェスタンブロッティングおよび Far-ウェスタンブロッティングを行いました。TUBE(Biotin-TUBE1)を用いると抗体よりも高感度にユビキチン化タンパク質が検出されました。


Strip1:抗ユビキチン抗体により検出
Strip2:メンブレンを熱処理してから抗ユビキチン抗体により検出
Strip3:TUBE(0.2 µg/mL)により検出
Strip4:TUBE(1 µg/mL)により検出

TUBE1, 2、UBA とポリユビキチンとの親和性の比較

TUBE_02.jpg

Ubiquilin1 由来またはヒト HR23A 由来の UBA、TUBE と 293 細胞溶解液を用いてプルダウンをし、ウェスタンブロッティング(ポリユビキチン抗体)によりポリユビキチン化タンパク質を検出しました。その結果、TUBE のポリユビキチンに対する親和性が UBA の 1,000 倍以上でした。

プルダウンにより回収される量比較

d013014_seinouhyouka_3.png

HEK293T 細胞の溶解液(総タンパク質量~ 4 mg)から Agarose-TUBE または他社相当品 10 µL を用いプルダウンによりユビキチン化タンパク質を回収し、非結合画分と溶出液をウェスタンブロッティング(抗ユビキチン抗体)により検出しました。
Agarose-TUBE は A 社製品や B 社製品よりもユビキチン化タンパク質を多く回収できていることがわかります。


U:非結合の画分
E:溶出液

実施例

Agarose-TUBE1 によるユビキチン化タンパク質の検出

TUBE_06.jpg

HEK293T 細胞の溶解液(総タンパク質量約 5 mg)から Agarose-TUBE1 10 µL を用いプルダウン後、ウェスタンブロッティング(抗ユビキチン抗体)による検出を行いました。
Agarose-TUBE1 によりユビキチン化タンパク質が回収できていることがわかります。


Input:細胞溶解液
FT:フロースルー
Elution:TUBE 溶出液

Q&A

ヒトのユビキチンとタンパク質を検出・精製するのに適した TUBE はどれですか?
種や組織の違いによって TUBE の選択に影響を与えることは無いと思われます(ユビキチンは真核生物で高度に保存されています)。しかしユビキチン鎖の結合様式(K48 や K63)は考慮する必要があります。
植物や他の種(ヒトとマウス以外)で使用できますか?
現時点では使用実績はありませんが、原理上は使用可能です。
SUMO 化タンパク質を検出する TUBE はありますか?
現在開発中です。
TUBE の機能に対するコントロールは何ですか?
TUBE の代わりにグルタチオンレンジ、IMAC レジン、アガローズビーズなどを使用してください。
脱ユビキチンを阻害するのに TUBE はどの程度加えればいいですか?
3 µM になるように加えることを推奨します。注意点として、Agarose-TUBE は溶解した細胞へ加えて使用しますので、細胞溶解から Agarose-TUBE の添加までは脱ユビキチン化が生じてしまうことを考慮する必要があります。DUB 阻害剤 PR619(#SI9619)の使用をお薦めします。

価格表

Tag/Conjugate製品名貯法

メーカー

製品番号

容量

オンライン

カタログへ

GST TUBE 1 (GST) -80℃ UM101 200 µg e-Nacalai.jpg
TUBE 2 (GST) -80℃ UM102 200 µg e-Nacalai.jpg
His6 TUBE 1 (His6) -80℃ UM201 200 µg e-Nacalai.jpg
TUBE 2 (His6) -80℃ UM202 200 µg e-Nacalai.jpg
Biotin TUBE 1 (Biotin) -80℃ UM301 200 µg e-Nacalai.jpg
TUBE 2 (Biotin) -80℃ UM302 200 µg e-Nacalai.jpg
Agarose TUBE 1 (Agarose) -20℃ UM401

1 mL

(50%

スラリー)

e-Nacalai.jpg
TUBE 2 (Agarose) -20℃ UM402

1 mL

(50%

スラリー)

e-Nacalai.jpg
Control Agarose Beads (negative control) -20℃ UM400

400 µL

(50%

スラリー)

e-Nacalai.jpg
Fluorophore TUBE 2 (Fluorescein) -80℃ UM502F 50 µg e-Nacalai.jpg
TUBE 2 (TAMRA) -80℃ UM502T 50 µg e-Nacalai.jpg

*TUBE を商業利用される場合はお問い合わせください。

※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。