ゲル-ネガティブ染色キット
特長
- 20分の染色で銀染色と同等の検出感度を実現 ※1
- 1枚のゲルで泳動像確認とウェスタンブロッティングが可能 ※2
- MSへの適用が可能
感度・発色時間・染色像 ※1
操作工程比較 ※2
泳動ゲルの染色像は、バックグラウンドが白濁しタンパク質の泳動像が透明に抜けて確認できます。
染色後のゲルはキット添付の脱色液(C液)で脱色後、ウェスタンブロッティングにも使用できます。そのため、1枚のゲルでサンプル泳動像の確認とウェスタンブロッティング検出ができます。
使用例
ウェスタンブロッティングへの適用
SDS-PAGE後、ウェスタンブロッティングを行う前に泳動ゲルをネガティブ染色すると、一時的にサンプルの泳動像を確認することができます。染色後のゲルはキット添付の脱色液(C液)で、約8分間の脱色操作を行った後、ウェスタンブロッティングを行うことができます。以下に、ヒト血清をSDS-PAGE後ネガティブ染色した泳動像と、その泳動ゲルからウェスタンブロッティングによりヒト血清IgGを検出した染色像を示します。
MSへの適用
ネガティブ染色で泳動ゲルを確認、ゲルを切り出し、脱色後MS解析が可能です。
キット内容
試薬名 | 主な成分 | 容量 | 数量 |
---|---|---|---|
A液原液(5×) | ラウリル硫酸ナトリウム | 220 ml | 1 |
B液原液(5×) | 硫酸亜鉛 | 200 ml | 1 |
C液原液(5×) | エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム | 200 ml | 1 |
90×90×1mmのスラブゲルで約20回使用できます。
使用方法
試薬の調製 (90×90×1mmスラブゲル基準)
ゲルサイズによって、試薬の調製量は変わります。ゲルが十分に浸るように、調製量を調節してください。
試薬名 | 調製内容 | |||||
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A液 |
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B液 |
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C液 |
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保存液 |
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染色法
当キットの染色法として従来からの「通常法」に、簡略化した「簡易法」を新たに追加しました。
「簡易法」は、「通常法」より約1/2に感度低下しますが、バックグラウンドがより白く染色され、バンドの判別が容易になります。
操作 | 使用液 | 通常法 | 簡易法 |
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洗浄 | イオン交換水 | 10分 | − |
前処理 | A液 | 5分 | 10分 |
洗浄 | イオン交換水 | 10秒×3回 | 10秒×3回 |
染色 | B液 | 30〜90秒 | 30〜90秒 |
洗浄 | イオン交換水 | 30秒×3回 | 30秒×3回 |
●通常法
- SDS-PAGE後のゲルを、イオン交換水50mlの入ったトレイに浸して10分間振とうします。
- イオン交換水を捨て、A液50mlを加えて5分間振とうします。
- A液を捨て、イオン交換水50mlで3回水洗(約10秒間振とう)し、ゲル表面のA液を洗い落とします。
水洗時間を長くすると、染色が弱まることがあるので注意してください。 - 先とは別のトレイにB液50mlを加え、3まで処理したゲルを浸して30〜90秒間振とうします。(この時点で泳動像の確認ができます。)
B液に90秒間以上長く浸しておくと、泳動像が不鮮明になる可能性がありますので注意してください。 - 泳動像が確認できたら直ちに水洗します。
水洗は3で使用したトレイにイオン交換水50mlを入れ、3回(30〜60秒間振とう)以上行ってください。 - 泳動像の観察は、染色したゲルをステンレス製又は黒色プラスチック製のトレイ上に置くか、光にかざして見ると容易になります。
(泳動像を記録する場合は、この時点で行うことをおすすめします。※3)
※3 泳動像の記録
泳動像の記録方法には、研究用画像解析装置、カラーコピーや市販のスキャナーによる簡易な画像取り込みなどがあります。市販のスキャナーで記録する場合は、透明なバンドと白色のバックグラウンドが鮮明に見分けられるように、黒色プラスチック製シートをゲルの背後に置くと、鮮明に画像を記録できます。
(参考文献)
Terry M. Bricker, Kari B. Green-church, Patrick A. Limibaugh and Laurie K. Frankel(2000)Anal Biochem, 278, 237-239 - 泳動像を保存する場合は、密閉された清潔な容器内で保存液に浸して保存してください。 ※4
※4 参考データ 泳動像の保存
(染色直後と21日保存の染色像を比較)
染色直後
染色後21日保存
●簡易法
- SDS-PAGE後のゲルを、A液50mlの入ったトレイに浸して10分間振とうします。
次に「通常法」③の操作を行い、以降は「通常法」と同様に行ってください。
●脱色法
- 「通常法」⑤のイオン交換水を捨て、C液50mlを加えて6分間ほど振とうし、ゲルが透明になることを確認してください。
- C液を捨て、イオン交換水50mlで3回(30秒間振とう)以上水洗します。
- 以後はウェスタンブロッティング法の操作に従い、転写緩衝液に浸す等の操作に移ってください。