Codex® HiCap RNA Polymerase
mRNA 合成の際に生じる、キャップ構造を持たない mRNA や dsRNA は、免疫原性を示すことが知られています。そのため、mRNA の医薬品開発などでは、これらを含まない、純度の高い mRNA が求められています。Codexis 社が開発した改良型の T7 RNA Polymerase(Codex® HiCap RNA Polymerase)は、変異を加えることで、キャッピング効率を向上させ、かつ副産物である dsRNA の生成を抑えることに成功しました。
- 高いキャッピング効率
- dsRNA の生成を抑制
製品説明
キャッピング効率の比較
キャップ濃度:High | キャップ濃度:Low | |
---|---|---|
Cap analog concentration | 5 mM | 1 mM |
Native GTP concentration | 1 mM | 5 mM |
Total mRNA Yield | 2 mg/mL | 4 mg/mL |
WT(wild-type) RNA Polymerase(グレー)もしくは Codex® HiCap RNA Polymerase(緑)を用いて、2 kb の DNA テンプレートから、in vitro 転写により mRNA を合成した。「キャップ濃度:High」では、キャップアナログの濃度を GTP の濃度よりも高く設定し、「キャップ濃度:Low」ではキャップアナログの濃度を GTP より低く設定し、それぞれのキャッピング効率を比較した。
WT RNA Polymerase のキャッピング効率は GTP とキャップアナログの比率に依存しているが、Codex® HiCap RNA Polymerase は、キャップアナログを選択的に認識するため、キャッピング効率が高いことが示された。
dsRNA の生成量の比較
WT RNA Polymerase(グレー)もしくは Codex® HiCap RNA Polymerase(緑)を用いて in vitro 転写を行った。dsRNA の検出は、抗 dsRNA 抗体(J2)でイムノブロットを行った。
Codex® HiCap RNA Polymerase は、WT と比べて dsRNA の生成が約 1/5 に抑えられていることが示された。
使用方法
Codexis 社では、キャップアナログである ARCA もしくは CleanCap® Reagent AG(TriLink BioTechnologies 社)を使用した場合のプロトコールを用意しています。プロトコールは以下のリンクよりダウンロード可能です。Codex® HiCap RNA Polymerase を用いることで、キャップアナログの使用量を減らせます。
参考文献
CleanCap® は TriLink BioTechnologies, LLC の登録商標です。
※掲載内容は 2024 年 4 月現在の情報に基づいています。