エピジェネティクス研究用化合物
Tocris Bioscience 社 BRD4 分解誘導化合物(MZ 1、dBET1)
Tocris Bioscience 社(以下 Tocris 社)では、エピジェネティクスに関与する種々のタンパク質に作用する化合物を数多く取りそろえており、さまざまな企業・大学とライセンス契約を結び、随時ユニークな化合物を追加しています。ここでは BRD4 分解誘導化合物(MZ 1、dBET1)を紹介します。
エピジェネティクス研究用化合物のその他の注目製品である SGC のケミカルプローブについてはこちらをご覧ください。
MZ 1 および dBET1 は、(+)-JQ1 をベースとした PROTAC で、BRD4 タンパク質を選択的に分解する機能を持ちます。PROTAC(Proteolysis Targeting Chimera)とは、E3 リガーゼへ結合する部分と標的タンパク質へ結合する部分を含む化合物で、ユビキチンプロテアソームシステム(UPS)により標的タンパク質の分解を誘導する機能を有します。また標的タンパク質がユビキチン化された後、これら PROTAC は標的タンパク質から解離し、新たな標的タンパク質に結合し作用します(下図)。
PROTAC の作用機序
製品説明
MZ 1(#6154/5) | dBET1(#6327/5) |
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(+)-JQ1 に von Hippel-Lindau(VHL)リガンドを結合させた細胞透過性の PROTAC 化合物である。BRD2、BRD3、BRD4 ブロモドメインに対し高い親和性(Kd = 13 ~ 60 nM)を有するが、BRD2、BRD3 と比較して BRD4 を選択的に分解誘導する(分解の DC50 値は H661 細胞で 8 nM、H838 細胞で 23 nM)。AML 細胞株に対して強力な細胞毒性、増殖抑制作用を示す(Mv4;11 細胞、pEC50 = 7.6)。ネガティブコントロールとして cis MZ 1 を販売。 | (+)-JQ1 にセレブロン E3 ユビキチンリガーゼリガンドを結合させた PROTAC 化合物である。In vitro においてがん細胞株の BRD4 が激減し(乳がん細胞、EC50 = 430 nM)アポトーシスを誘導する。マウスに異種移植したヒト AML 細胞の成長を遅らせ、また MYC を抑制する。 |
価格表
関連製品
(+)-JQ1(#4499/10) |
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強力かつ親和性の高い、選択的な BET ブロモドメイン阻害剤。BRD2(N 末端(N))、BRD4(C 末端(C))、BRD4(N)、CREBBP に対する IC50 値は 17.7 nM、32.6 nM、76.9 nM および 12,942 nM。また BRD4(N)、BRD3(N)、BRD3(C)、BRD4(C)、BRD2(N)、BRDT(N)に対する Kd 値は、49 nM、59.5 nM、82 nM、90.1 nM、128 nM および 190 nM。NUT midline carcinoma(NMC)細胞株の扁平上皮への分化を誘導する。In vivo において NMC 異種移植モデルの腫瘍の増殖を抑制する。雄マウスの生殖細胞で可逆的避妊作用を示す。不活性なアナログ(-)-JQ1(#5603/10)を販売。 |
※掲載内容は 2020 年 3 月現在の情報に基づいています。