
COSMOSIL 1.8PBr
コスモシール PBr はペンタブロモベンジル基を官能基とする、親水性化合物の分離に特化したカラムシリーズです。本製品は粒子径 1.8 μm の超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)用 PBr カラムで、使い慣れた逆相モードの分析条件による親水性化合物の高速分離が可能です。
- 親水性物質を逆相クロマトグラフィーで保持
- ODS カラムで不十分な分離を大幅に改善
- UHPLC 用カラムによる高速分離
超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)は、通常より小さい粒子径のシリカゲルを充填したカラムに速い流速で移動相を流すことで分析を高速化する技術です。UHPLC 用カラムの分析例は年々増加の一途をたどっており、今後ますます重要な技術になると予想されます。
製品説明
UHPLC による親水性化合物の高速分離
プリン代謝物の高速分離
HPLC 用のコスモシール PBr カラムを用いてプリンヌクレオシドの代謝物である尿酸やアラントイン 9 種の分析を行ったところ、約 40 分を要しました。一方、充填剤を微粒子化したコスモシール 1.8PBr カラムでは高い分離性能により約 10 分で分析が可能でした。

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL PBr ; 4.6 mm I.D. × 250 mm COSMOSIL 1.8PBr ; 2.1 mm I.D. × 100 mm |
Sample |
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Mobile phase | Methanol / 0.1% Formic acid aq. = 10 / 90 | ||
Flow rate | PBr ; 1.0 mL/min 1.8PBr ; 0.4 mL/min |
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Temperature | 30℃ | ||
Detection | UV 240 nm | ||
Inj. Vol. | 1.0 μL |
※Flow rate は各カラムの充填剤粒子径とカラム内径に合わせて最適化しています。
臭素原子のユニークな相互作用による親水性物質の保持および分離
コスモシール PBr カラムは ODS カラムと同じ逆相モードで使用できますが、臭素原子の大きな分極率による「分散相互作用」、さらに近年存在が明らかとなった「ハロゲン結合」という特異的な相互作用により、ODS カラムとは異なる保持と分離を示します。分散相互作用やハロゲン結合は、分極率の大きな原子やπ電子、および孤立電子対を有する酸素や窒素との間で働きます。そのため PBr カラムは、ODS カラムでは保持の難しい親水性化合物を保持することができ、他のカラムでは分離の難しいターゲットを分析することができます。

イミダゾールジペプチドの分析

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8C18-MS-Ⅱ ; 2.1 mm I.D. × 100 mm COSMOSIL 1.8PBr ; 2.1 mm I.D. × 100 mm |
Sample |
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Mobile phase | 20 mM Ammonium formate aq. | ||
Flow rate | 0.2 mL/min | ||
Temperature | 40℃ | ||
Detection | UV 220 nm | Inj. Vol. | 0.5 μL |
ニコチンアミド代謝物の分析

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8C18-MS-Ⅱ ; 2.1 mm I.D. × 100 mm COSMOSIL 1.8PBr ; 2.1 mm I.D. × 100 mm |
Sample |
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Mobile phase | A ; Methanol / 20 mM Ammonium formate aq. = 5 / 95 B ; Methanol / 20 mM Ammonium formate aq. = 20 / 80 B conc. gradient ; 0%(0 → 3 min), 100%(3 → 6 min), 100%(6 → 10 min) |
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Flow rate | 0.3 mL/min | ||
Temperature | 30℃ | ||
Detection | UV 260 nm | Inj. Vol. | 1.0 μL |
ODS カラムとの立体選択性による分離特性の違い
コスモシール PBr カラムでは前述の芳香環によるπ相互作用や臭素による分散相互作用による選択性のほか、分子の立体形状に応じた選択性が生じる場合も知られています*。これらの効果により、ODS カラムで十分な保持がある場合にも、PBr カラムにより分離改善される場合があります。
*Taniguchi A, et al. Chromatography. 2025;46:55.
悪臭物質アルデヒド類誘導体の分析
日本の悪臭防止法で規定される悪臭物質アルデヒド類誘導体の分析では、一部の異性体分離が困難であり、一般的な逆相カラムを使用した場合は 3 成分移動相のグラジエントという複雑な分析条件が報告されています。一方で 1.8PBr カラムでは、シンプルな 2 成分移動相を用いたイソクラティック条件で分析が可能です。

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8C18-MS-Ⅱ ; 2.1 mm I.D. × 100 mm COSMOSIL 1.8PBr ; 2.1 mm I.D. × 100 mm |
Sample |
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Mobile phase | PBr ; Methanol / Water = 90 / 10 ODS ; Methanol / Water = 75 / 25 |
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Flow rate | 0.3 mL/min | ||
Temperature | 30℃ | ||
Detection | UV 360 nm | Inj. Vol. | 0.4 μL |
PFP カラムとの分離特性の違い
ペンタブロモベンジル基を有するコスモシール PBr カラムは、ペンタフルオロフェニル(PFP)カラムと同じハロゲン化ベンゼンを有しています。しかし、PFP カラムは双極子-双極子相互作用、PBr カラムは分散相互作用と保持のメカニズムが異なるため、分離特性も大きく異なります。PFP、PBr のいずれのカラムでも ODS と比較して分離が改善されましたが、溶出の順序が異なりました。PFP では含フッ素化合物との特異的な相互作用により -CF3、-SF5 を、PBr では重ハロゲン原子との分散相互作用により -Br、-I を強く保持しました。

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 3C18-MS-Ⅱ ; 4.6 mm I.D. × 150 mm COSMOSIL PFP ; 4.6 mm I.D. × 150 mm COSMOSIL 3PBr ; 4.6 mm I.D. × 150 mm |
Sample |
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Mobile phase | Methanol / Water = ** / ** ODS = 70 / 30, PFP = 60 / 40, PBr = 70 / 30 |
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Flow rate | 1.0 mL/min | ||
Temperature | 30℃ | ||
Detection | UV 254 nm | Inj. Vol. | 1.0 μL |
物性
充填剤名称 | PBr |
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シリカゲル | 全多孔性球状高純度シリカゲル |
平均粒子径(µm) | 1.8 |
平均細孔径(nm) | 12 |
比表面積(m2/g) | 340 |
化学結合基 | ペンタブロモベンジル基 |
結合形式 | モノメリック |
製品使用例
分析例
合成ペプチドの純度測定

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8PBr 2.1 mm I.D. × 100 mm | Sample |
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Mobile phase | A ; 0.1% TFA in water B ; 0.08% TFA in acetonitrile B conc. gradient ; 0 - 15%(0 - 15 min) |
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Flow rate | 0.2 mL/min | ||
Temperature | 40℃ | ||
Detection | UV 220 nm |
高親水性物質の異性体分離

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8PBr 2.1 mm I.D. × 150 mm | Sample |
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Mobile phase | 0.1% Formic acid aq. | ||
Flow rate | 0.4 mL/min | ||
Temperature | 40℃ | ||
Detection | UV 220 nm |
アデノシンリン酸の分離

Conditions | |||
---|---|---|---|
Column | COSMOSIL 1.8PBr 2.1 mm I.D. × 100 mm | Sample |
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Mobile phase | 20 mM Ammonium formate aq. | ||
Flow rate | 0.4 mL/min | ||
Temperature | 40℃ | ||
Detection | UV 260 nm |
糖類の分離

Conditions | |||
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Column | COSMOSIL 1.8PBr 2.1 mm I.D. × 150 mm | Sample |
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Mobile phase | Water | ||
Flow rate | 0.4 mL/min | ||
Temperature | 40℃ | ||
Detection | ELSD |
【注意 : 接続タイプについて】
UHPLC 用カラムの接続部には Waters UPLC カラムタイプ(UHPLC 型接続)を使用しています。適合しないフィッティングにカラムを無理に接続すると、フィッティングがカラムエンドから外れなくなることがあります。
UPLC はウォーターズ テクノロジーズ コーポレーションの登録商標です。

関連資料
価格表
COSMOSIL / コスモシールはナカライテスク株式会社の登録商標です。
関連製品
粒子径 1.8 µm 以外の PBr シリーズについてはこちら
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。