グリコーゲン溶液
核酸を精製、濃縮する一番簡単な方法は、高分子コロイドである DNA をアルコールと塩で凝集させて沈殿を得る(コロイド塩析)方法です。しかし、微量な DNA や RNA をアルコール沈殿にて回収する場合、回収率が低下することが知られており、この回収率の低下を防ぐ目的で、アルコール沈殿を行う試料にグリコーゲンや tRNA を添加します。本製品は、アルコール沈殿を行う際に共沈剤として添加し、核酸の回収率を上げるために使用するものです。
特長
- Ready to use
- 収率アップ
- 冷却ステップ不要
- 逆転写酵素の阻害なし
- ヌクレアーゼ試験済
使用例 1
微量核酸の回収
10 ng/100 µL に調製した λ/Hind Ⅲ溶液を、0.3 mol/L 酢酸ナトリウム存在下にてそれぞれエタノール沈殿を行ない、回収 DNA をアガロースゲル電気泳動により確認しました。 グリコーゲンを添加することで微量 DNA を効率よく回収できることを確認しました。またグリコーゲン添加後直ちに遠心操作を行っても、90% 以上の DNA を回収できることを確認しました。
レーン 1 | :Control |
レーン 2 | :グリコーゲン未添加、直ちに遠心 |
レーン 3 | :グリコーゲン添加(1 μL)、直ちに遠心 |
レーン 4 | :グリコーゲン添加(1 μL)、室温、1 時間 |
レーン 5 | :グリコーゲン添加(1 μL)、-30℃、1 時間 |
レーン 6 | :A社 共沈剤添加(1 μL)、直ちに遠心 |
逆転写酵素への影響
10,000 cells の浮遊培養細胞 HL-60 から Sepasol®-RNAⅠSuper を用いて RNA の抽出を行い、グリコーゲン添加イソプロパノール沈殿で RNA を回収しました。回収した RNA を DNase 処理し、次いで逆転写酵素 ReverTra Ace®(TOYOBO)を使って cDNA としました。さらに同一チューブで DNA ポリメラーゼ KOD Dash®(TOYOBO)を使い β-Actin(645 bp)の増幅を行いました。
共沈剤としてグリコーゲン溶液を用いて回収した RNA は、逆転写酵素に影響を与えず RT-PCR への適応が可能であることを確認しました。
ReverTra Ace®、KOD Dash® は東洋紡株式会社の登録商標です。
レーン 1 | :100 bp ラダーマーカー |
レーン 2 | :グリコーゲン未使用 |
レーン 3 | :グリコーゲン 0.5 μL 使用 |
レーン 4 | :グリコーゲン 1 μL 使用 |
レーン 5 | :グリコーゲン 3 μL 使用 |
レーン 6 | :グリコーゲン 5 μL 使用 |
使用方法
使用例 2
Sepasol® によるTotal RNA の抽出時にグリコーゲンを添加することで、細胞から RNA を効率良く回収できることが確認されました。以下にそのプロトコールを紹介します。