InvivoGen 社 SARS-CoV-2 スパイク依存的細胞融合アッセイ
続々と出現している SARS-CoV-2 変異株により、ワクチン接種によって誘導された免疫効果の低下や、抗体製剤などを用いた治療効果の減弱が懸念されています。そこで、変異株に対する中和抗体の効果を調べたり、SARS-CoV-2 スパイク依存性の細胞融合の阻害剤をスクリーニングしたりすることが可能な細胞融合アッセイを InvivoGen 社から販売していますので紹介します。このアッセイではウイルスの代わりに細胞株を使用していますので、低バイオセーフティーレベルで扱えるようになっています。
製品紹介
このアッセイは、アダプター分子 MyD88 を高発現している「ドナー細胞株」と、NF-κB 誘導性 SEAP レポーター遺伝子を発現している「アクセプター細胞株」を用います。
- 「ドナー細胞株」に変異株のスパイクタンパク質をコードした発現プラスミドを導入することで、「ドナー細胞株」は SARS-CoV-2 の模倣体となります。
- 「ドナー細胞株」と一緒に、ACE2 を安定発現させた感染許容細胞株である「アクセプター細胞株」を共培養すると、スパイクタンパク質は ACE2 に結合し、細胞融合へと続きます。なお本来のウイルス-細胞感染とは異なり、TMPRSS2 の存在は本細胞融合アッセイに影響を与えません。
- 細胞融合により、「ドナー細胞株」から「アクセプター細胞株」に MyD88 が移動することで、「アクセプター細胞株」の中でシグナルカスケードが進み、最終的に NF-κB 依存の SEAP が産生されます。
産生された SEAP は培地に分泌されますので、検出試薬により簡単に検出することができ、細胞融合の発生を定量的に評価することに使用できます。
取扱メーカーニュース
製品ラインアップ
細胞融合アッセイに有用な製品群（一部）を掲載します。各製品の詳細は、InvivoGen 社 の Web site をご参照ください。また InvivoGen 社では、細胞融合アッセイ以外にも新型コロナウイルス研究に役立つ試薬を紹介しています（Web site）。
ドナー細胞株
ウイルスの模倣体としての役割を果たします。導入するプラスミドの選択によって特定の変異株に対応したスパイクタンパク質を発現させることが可能です。アダプター分子 MyD88 が過剰発現しています。
| 製品名 | 製品詳細 | メーカー 製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 293-hMyD88 Cells | Human MyD88 expressing HEK293 cells | 293-hmyd | 3-7 X 10e6 cells |  |
||
アクセプター細胞株
細胞融合により「ドナー細胞株」からアダプター分子 MyD88 を受けると、レポーター遺伝子を発現します。
| 製品名 | 製品詳細 | メーカー 製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| HEK-Blue hACE2 Cells | SEAP reporter HEK293 cells expressing human ACE2 | hkb-hace2 | 3-7 X 10e6 cells | |
||
| HEK-Blue hACE2-TMPRSS2 Cells | SEAP reporter HEK293 cells expressing human ACE2 and TMPRSS2a*1 | hkb-hace2tpsa | 3-7 X 10e6 cells | |
||
| A549-Dual hACE2-TMPRSS2 Cells | Reporter Human Lung Carcinoma*2 | a549d-cov2r | 3-7 X 10e6 cells | |
||
*1 本来のウイルス-細胞感染とは異なり、TMPRSS2 の存在は本細胞融合アッセイに影響を与えません。本アッセイおよびその後の研究目的に応じてご選択ください。
*2 本細胞融合アッセイへの適用を確認されていますが、InvivoGen 社 では条件の最適化を行っておらず、お客さまご自身での最適化が必要です。
Spike variants
「ドナー細胞株」に導入するスパイクタンパク質の発現プラスミドです。世界各地で発生した変異株の遺伝子を継続して更新しています。最新のラインアップは InvivoGen 社 Web site をご参照ください。
| 製品名 | 製品詳細 | メーカー 製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| pUNO1-Spike | Wuhan-Hu-1 Spike gene | p1-spike | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV1 | Wuhan-Hu-1 Spike gene with D614G mutation | p1-spike-v1 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV2 | Spike gene from United Kingdom Variant (B.1.1.7) | p1-spike-v2 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV3 | Spike gene from South African Variant (B.1.351) | p1-spike-v3 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV4 | Spike gene from Californian Variant (B.1.429) | p1-spike-v4 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV5 | Spike gene from Brazilian Variant (P.1) | p1-spike-v5 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV6 | Spike gene from New York Variant (B.1.526) | p1-spike-v6 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV7 | Spike gene from the Kappa variant (B.1.617.1) | p1-spike-v7 | 20 µg | |
||
| pUNO1-SpikeV8 | Spike gene from the Delta Variant | p1-spike-v8 | 20 µg | |
||
Anti-SARS-CoV-2 Spike mAbs
Spike-ACE2 結合阻害効果が確認されている中和抗体が用意されています。コントロールとして使用できます。
| 製品名 | 製品詳細 | メーカー 製品番号 | 容量 | オンライン カタログへ |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Anti-Spike-RBD-hIgG1 (CR3022) | Recombinant monoclonal human IgG1 antibody against Spike RBD | srbd-mab1 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-c1-hIgG1 | SARS-CoV-2 Spike RBD monoclonal human IgG1 antibody (Clone H4) | cov2rbdc1-mab1 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-c2-hIgG1 | SARS-CoV-2 Spike RBD monoclonal human IgG1 antibody (Clone B38) | cov2rbdc2-mab1 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-cas-mIgG2a | Recombinant monoclonal mouse IgG2a (Casirivimab-derived) | srbdc3-mab10 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-imd-mIgG2a | Recombinant monoclonal mouse IgG2a (Imdevimab-derived) | srbdc4-mab10 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-bam-mIgG2a | Recombinant monoclonal mouse IgG2a (Bamlanivimab-derived) | srbdc5-mab10 | 100 µg | |
||
| Anti-CoV2RBD-ete-mIgG2a | Recombinant monoclonal mouse IgG2a (Etesevimab-derived) | srbdc6-mab10 | 100 µg | |
||
※掲載内容は予告なく変更になる場合があります。
