国内研究者使用例
脂肪酸メチル化キットを用いた食品包装フィルムに含まれる非酸化型/酸化型脂肪酸のメチル化とGC分析
データご提供:公益財団法人京都高度技術研究所京都バイオ計測センター
招聘研究員 市原 謙一 先生(京都府立大学 特任教授)
実験概要
食品の調理や保存に使用される食品包装フィルムには、酸化防止剤や可塑剤などさまざまな目的のために多くの化学物質が添加されています。ポリ塩化ビニリデン製食品包装フィルムは、添加剤として脂肪酸誘導体やエポキシ化植物油が一般的に使用されています。今回、ポリ塩化ビニリデン製食品包装フィルムに含まれる非酸化型脂肪酸と酸化型脂肪酸を脂肪酸メチル化キットで前処理後ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析を行いました。
実験方法
メーカーの異なる2種類のポリ塩化ビニリデン製食品包装フィルムを脂肪酸メチル化キット(製品番号:06482-04)とメチル化脂肪酸精製キット(製品番号:06483-94)を用いて食品包装フィルムに含まれる脂肪酸をメチル化し、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析を行った。
<使用方法>
1.試料準備
ポリ塩化ビニリデン製食品包装フィルム1×2cm四方に切った101mgを10ml容量のねじ口試験管に入れる。
2.脂肪酸のメチル化
脂肪酸メチル化キット、メチル化試薬A 1ml(*1)とメチル化試薬B 1ml(*1)を加えて混合し、37℃で1時間反応を行い、次いでメチル化試薬C 1ml(*1)を加えて37℃、20分間反応した。抽出試薬2mlとヘプタデカン酸メチル(1mg/ml)のヘキサン溶液20µlを加えて撹拌し、上層約2mlを別の試験管に移しイオン交換水2mlで2回洗浄した。得られた上層0.75mlをカラムクロマトグラフィーにかけ、精製した。回収は通常脂肪酸メチルと合わせて酸化型脂肪酸メチルも溶出するように、キット添付の溶出液に8%となるようにアセトンを加えて、3mlの溶出液を取得した。
*1:フィルムが嵩高いことからキット試薬は取扱説明書記述プロトコールの2倍量で実施しています。)
*2:ヘプタデカン酸メチル (C17:0) 20µgを内部標準として加えています。)
3.試料調製とGC分析
精製キット操作のカラム溶出液3mlを減圧濃縮/乾固してからヘキサン150µlに溶解した。この試料を用いてGC分析を行った。
実験結果
12:0 | - | 5.88 |
14:0 | - | 2.69 |
16:0 | 1.03 | 3.11 |
18:0 | 0.60 | 2.35 |
Epoxy-C18:0* | 0.52 | 1.00 |
Fatty Acid | Film A (D-12) (mg/g of film) |
Film B (D-13) (mg/g of film) |
---|
(* Epoxy-C18:0はGC/MSデータベース検索からの推定構造です。標準品法による同定しておりません。)
考察
メーカーの異なる2種類を対象として分析した結果、検出された脂肪酸成分はいずれも飽和脂肪酸であるが、組成や含量が異なることが確認された。また推定構造ではあるが、エポキシ脂肪酸も脂肪酸メチル化キットを用いた分析において確認することができた。
関連分析例(界面活性剤)
●Tween20
●Tween20
●Tween40
●Tween60
●Tween80
●Tween85
※記載の内容は、'15年11月現在の情報に基づいております。
※研究者のご所属などの情報は、データご提供時の情報に基づいております。