後悔しない
働き方を
K.Y.さん
研究部門 K.Y.さん

2010年新卒入社 生命環境科学研究科 修了

憧れの町、京都で働く

入社した理由/入社の決め手等

学生時代は関東の生命科学系の研究室に所属し、寿命を研究するということは老化を研究することでもあり、全ての生物の健康に関わるとても魅力的なテーマであると考え、長寿遺伝子の研究をしていました。遺伝子の働きや健康に関する興味は持ち続けていたので、就職活動はヘルスケア分野の研究職を中心に行っておりましたが、もっと自分に合った面白い仕事があるのではないかという迷いも、ずっと心にありました。そんな時、すでにナカライテスクに入社されていた研究室の1学年上の先輩から「ナカライテスクのマーケティング部門で新人を募集しているから受けてみないか」とお誘いの電話をもらい、直感で面白そうだと思ったので、すぐに先輩の話を聞きに新幹線で京都へ行き、気がついたら入社試験を受けておりました。
入社の決め手は先輩のお話に加え、不純な動機もあるのですが、個人的に憧れの町だった京都に住めて、しかもその中心地である烏丸御池で勤務できるという点でした。
通勤ラッシュも少しはあるものの東京の比ではないので、京都での暮らしに大満足しています。

マーケティング部門と海外出向

これまで歩んできた(弊社での)キャリア

入社後はマーケティング部(当時)に配属されました。部の中には色々な部署があり、私は数年おきに異動になって様々な仕事に携わりました。例えば、ナカライテスクが取り扱う試薬の法令管理や、お客様や営業担当者の技術サポート、学会などでの企業ブース展示、顧客向けのオンサイトセミナー、販促キャンペーンの企画、海外の仕入れ先試薬メーカーとの折衝や新規取引先開拓などの業務です。
マーケティング部の後は輸出事業の部署に異動になり、その後はアメリカのサンディエゴにある子会社のNacalai USAに出向しました。マーケティング部時代に週一回、社内英語講座(宿題あり)や海外での語学研修と就労体験(なんと3ヶ月も!)に参加させていただいていましたが、それでも言葉や文化、日本と海外での試薬の購入スタイルの違い等で海外部門での業務は想像以上に大変でした。

プライベートでは、運転するのがとても好きでしたので、北はサンフランシスコ、東はラスベガスやグランドキャニオン、南はメキシコ国境の町まであちこち車で旅行しました。メキシコでは警官に呼び止められて職務質問されたのも今となっては楽しい思い出の一つであり、このような海外部門ならではの楽しい経験もたくさんあったので乗り越えることができました。

忖度なんてしてくれない培養細胞

これまで難しかった仕事は何ですか? それをどのように乗り越えられましたか?

帰国後は研究部に異動になり、大阪大学との共同研究のため吹田キャンパスの医学部に通勤していました。大阪大学では幹細胞用の培養液の研究開発に携わりました。学生時代とは違い業務としての研究でしたから、手ぶらでは会社に帰りづらいというプレッシャーを非常に感じていました。今だから笑って言えますが、当時は細胞が相手の研究なので全ての研究テーマがうまく行くわけではない(たとえ教授や社長の思惑でも、培養細胞は忖度なんてしてくれない! いくら期待されても出ないデータは出ない!)と実は思っていました。
多くのことにも通じることだと思いますが、物事には自分でコントロールできることとできないことがあるので、コントロールできないことにストレスを感じるよりは、開き直ってすっぱりと諦め、コントロールできる部分でベストを尽くすと考え、ストレスとうまく付き合っていました。

ゼロから始めた研究テーマでしたので、大学院生のような研究生活を4年ほど送り、なんとか論文にまとめることができました。論文にするまで長期間一緒に仕事をさせていただいた先生方とは有難いことに信頼関係を築くことができましたので、共同研究契約期間が終わって数年たった今でも別テーマで連携させていただくなど頻繁に連絡を取り合っています。現在は会社に戻っておりますが、その時に得られた知見を製品開発に活かしています。

毎日やりがいを感じています

現在の仕事内容と、仕事のやりがい

現在は主に動物細胞培養分野で使われる製品・技術の研究開発を行っています。中でも動物由来成分を含まない無血清培地に注力しています。今日の細胞培養分野は非常に多岐にわたっており、我々の研究テーマの中にも、iPS細胞に代表されるような幹細胞を用いた再生医療/創薬研究分野や、培養肉に代表されるような細胞農業と呼ばれる次世代食料生産分野と密接に関わっているテーマがあります。
このような最先端のライフサイエンスと直接関わり、その発展の一部をわずかでも担っていると感じられるので、毎日、知的好奇心を刺激され続け、ワクワクしながら充実した日々を過ごしております。

自由と責任

ナカライテスクの研究について

ナカライテスクの研究開発職の魅力は自身のアイデア、進め方によって自分の仕事を様々に展開させられることです。もちろん会社としての大きな方針は示されますが、どのように具現化するかは各社員の意思(興味関心やモチベーション)もとても尊重されます。ゴールは新製品を完成させることだけではありませんし、ゴールに辿り着くまでの方法論もケースバイケースです。もちろん営利企業ですから今までになかった製品を世に送り出して利益を拡大させることが求められますが、学術誌や学会で発表して、さらにテーマを発展させたり、社外の研究者(大学、公的研究機関、民間企業問わず)とコラボレーションすることで新しい分野を開拓したりと、アイデアとモチベーション次第でオリジナリティ溢れる仕事の進め方が可能です。よって、ナカライテスクの研究開発職には、自分の考えを持って、道なき道を開拓するような性格の方と相性が良いと思います。

また、大阪大学で共同研究をしていた頃は部下のいない一研究員だったので、自分の研究だけを進めていればよかったのですが、現在は課長の立場になり、そういう訳にはいきません。課員も自分も継続的に成長していけるような職場環境の構築と向上のためのチャレンジを続けたいと思っています。課としては、The power of one drop to change the world が実感できるような製品を世に出したいと考えています。

日々/月々/年々の成長

仕事をする上で大切にしていること

細胞や生物を使ったライフサイエンス系の研究開発は時間がかかりますので、残念ながら昨日と今日を比べても研究の進展や自身の成長が分かりにくい環境です。ですので、一カ月前、一年前と比べてどのくらい目標に近づいているか、成長しているか、という視点と、長期的なゴールを意識すること、緻密さと大胆さを大切にしています。

緻密さと大胆さ

どんな人と働きたいと思いますか?

「仕事をする上で大切にしていること」の続きになりますが、緻密さと大胆さを併せ持った人と働きたいと考えています。実験前の文献調査による情報収集や仮説の設定、実験操作、データの解釈、更なる仮設の設定には緻密さが要求されます。一方で、細かいことを気にしていてはなかなか先に進まなかったり、飛躍するには細かいことはいったん脇に置いてエイヤッ! と大胆に実行してしまったほうが圧倒的に早い場面も意外なほど多くあると思っているからです。相反する行動原理なのでバランスをとるのが難しいですが、ケースバイケースでどちらの選択肢も実行できる人だとお互いにストレスが少ない状態で一緒に働けると思っています。

老舗企業でもアグレッシブ

会社の好きなところ、または会社に対する小さなお願い

創業180年近い老舗企業なので、保守的で堅苦しく、大人しい、年功序列な社風というイメージがあると思いますが、全くそういうところはなく、柔軟で、社員の個性を重んじ、ベンチャー企業のようにアグレッシブな方針を打ち出したりするところが好きです。なぜそういうことになったのか説明はしてもらえるのですが、アグレッシブ過ぎる時にはもう少し丁寧に教えてほしい時もたまにあります。

スキルやキャリアに関係なく、社内で別の部署で働けるならどこを選びますか?

スキルやキャリアに関係なくであれば、国際開発課です。求められるスキルは違うものの、既存のものを礎として活かし、新しいことを開拓していく点で研究開発と国際開発はよく似ているように感じるからです。

後悔しない働き方を

ワークライフバランスはとれていますか? 休日の過ごし方等プライベートについて教えてください。

バイオサイエンス研究課では主に自身の実験計画をもとに業務の予定を組みますので、有給休暇は終日、半日、時間単位で自分の裁量で取得しやすい環境にあると思います。一方で、思考実験や仮説の設定などは良くも悪くも自分の頭さえあればいつでもどこでもできてしまうので、休日も研究のことを考えてしまうことがあります。例えば、スーパーで食品を手に取った時やテレビコマーシャルなどで見た成分をこの開発品に加えてみたら? とかついつい考えてしまいます。
休日は2人の子ども中心の生活をしていますが、子どもの成長はとても早いので、「子どもと一緒に過ごせるうちにもっとこうしていればよかった」と後年になって後悔しないように気をつけています。その面では仕事も同じで、何事も「あの時こうしていればなぁ…」と後悔しないように進めたいです。

とある1日のスケジュール

午前中
iPS細胞など培養細胞を使った実験
昼過ぎ
社外とのコラボプロジェクトで開発している細胞培養用培地の成分検討と試作品の調製
夕方〜退社時
海外出張先で外国人研究者に製品プロトタイプを紹介するための資料作成