この度、弊社製品の光学分割ラベル化剤 L-FDVDA とコスモシール 3C₁₈-AR-II カラム、コスモシール 3PBr カラムを用いて、スレオニン（Thr）とイソロイシン（Ile）の立体異性体を含む 22 種類の DL-アミノ酸およびグリシン（Gly）の 43 個のアミノ酸を分離・識別する手法を確立し、ペプチドの配列解析に利用できることを示した論文が「Chemical and Pharmaceutical Bulletin」に掲載されました。本研究は京都大学大学院 薬学研究科 掛谷 秀昭 教授らとの共同研究成果です。

論文名：

Separation and Identification of Isoleucine Enantiomers and Diastereomers Using an Original Chiral Resolution Labeling Reagent

著者名：

Makoto Ozaki¹, Motoshi Shimotsuma¹, Takefumi Kuranaga², Hideaki Kakeya², Tsunehisa Hirose¹

所属：

¹ ナカライテスク株式会社 研究部 分離精製研究課
² 京都大学大学院 薬学研究科 創発医薬科学専攻 システムケモセラピー・制御分子学分野

誌名：

• Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 2023, 71, p. 824-831.
  DOI: https://doi.org/10.1248/cpb.c23-00439（オープンアクセス）

概要：

本論文では、既存のキラルラベル化剤やキラルカラムでは分離することが難しい Ile の立体異性体（DL-form と DL-allo-form）を、弊社の光学分割ラベル化剤 L-FDVDA とコスモシール PBr カラムを用いて、分離・識別する手法を示しました（Fig. 1）。また、確立した分析手法を用いて、Thr と Ile の立体異性体を含んだペプチド中のアミノ酸を精密に同定しました（Table 1 と Fig. 2）。

Fig. 1 本研究の概要図

Table 1 Thr と Ile の立体異性体を含んだ ShK 毒素の部分配列

Fig. 2 L-FDVDA でラベル化した各サンプル（加水分解処理済み）の分析結果

本分析法は、血漿や食品中の遊離アミノ酸のラセミ化やエピメリ化だけでなく、生理活性を有するタンパク質やペプチド中の Thr と Ile の立体異性体を含む DL-アミノ酸を検出することができると考えられます。そのため、メープルシロップ尿症や、Ile 立体異性体をバイオマーカーとした診断法、微量の新規生理活性タンパク質やペプチドの高感度配列解析などの研究への利用が期待できます。

▼　本記事の紹介ページ

• 光学分割ラベル化剤 L-FDVDA DL-allo-Thr と DL-allo-Ile を含むペプチドの配列解析

▼ 本論文で使用した光学分割ラベル化剤とカラム

• L-FDVDA（e-nacalai へ）
• COSMOSIL 3PBr Packed Column
• COSMOSIL 3C₁₈-AR-II Packed Column